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    ベース

    佳芙司(kafukafuji)

    DONE140SS【https://poipiku.com/3176962/8885168.html】をベースにした改良版。
    使った自ネタ→【https://novelskey.tarbin.net/notes/9gettnffqf】
    京園5.5

     海外にいると日本語が恋しくなる時がある。そういう時こそ本でも読めばいいのかもしれないが、大抵の場合京極は衝動に負けて、携帯電話のメッセージアプリを眺めたり手紙を手に取ってしまう。園子と交わした、学校であった事、自身の近況報告、今度はいつ会えるか、早く会いたいという気持ちの文章。紙での遣り取りは減ったが、以前はその手跡を指でなぞっては思いを募らせていたと懐かしむ。それに伴って、その頃はまだ明確に互いの気持ちを伝え合っておらず、タイムラグのある遣り取りの為に勝手な思い込みや勘違いをしては突飛な行動をしてしまった事もあった、と思い出して京極は一人顔を赤らめた。
     気を取り直して、先程着信のあったメッセージを読む。陸上競技記録会、もとい運動会の日が近付いている為にテニス部なのに皆そちらに意識が向いてしまって、ラケットを持つより走り込みや基礎トレばかりやっているという旨の近況報告で、そういえばそんな時期かと彼は目を細めた。きっと彼女の事だから級友達を全力で応援して盛り上げるのだろうと容易に想像出来る。少し、ほんの少しだけ、羨ましいような気がする。
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    いさな🌱

    DONE既刊「彼女と彼の大団円」の設定をベースに、告白できなかった場合の軸のお話。冒頭に「彼女と彼の大団円」と同じ展開があります。
    ボーダーを辞めたひゃみさんと忘れられない辻󠄀ちゃんの大人になった頃のお話。

    ※捏造、年齢操作があります。
    ※モブがたくさんしゃべります。(名前ありモブもいます)
    🎪うそつきたちの約束は学校帰り、ボーダーへと向かう道。
    「三十歳になった時にさ……お互い彼氏彼女がいなかったら、結婚しちゃおうか?」
    ひょんな話の流れから、ひゃみさんは俺にそう言った。それに思わず固まる。
    「……お、俺はまぁ分かるけど……ひゃみさんは大丈夫でしょ?」
    真に受けて照れてしまった俺とは対照的に、ひゃみさんはいつもと変わらない顔で「分かんないよ」と言ってくる。照れた自分を恥じて少しムッとした俺に、ひゃみさんは「どうしたの?」と聞いてくるものだから、頬をさすりながら「なんでもない」と答える。少しだけ笑った彼女は、それを深追いすることなく「そう」と返し、前を向いた。
    「……あ、ねぇ辻くん」
    クンクンと、制服の裾を軽く掴まれる。俺は素直に、彼女が指差す方向へと視線を向けた。そこには、店の前に置かれたガチャガチャが数台並んでいる。
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