ホームワークが終わらない
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MOURNING『ホームワークが終わらない』おまけヒカリフルペーパーラリーのSSです。
第六章マジカルミレニアムの内容と関係あります。
『ホームワークが終わらない』おまけ【マジカルゆでたまご】
「ゼロといったら……好きだ!」
2000年の幕開けとともにどーんと打ち上げ花火が空に舞い散る中、景光は叫んだ。
「意味が繋がっていないからアウトでーす!」
「あ、あなたは!?」
マジカル頭脳アワーの司会でお馴染みの、芸能人・板西英三がいきなり現れた。どうやらこの近くで年越し番組の中継に出演していたらしい。
「ハイハイ、やり直しねー」
急に現れたこの男に、全て仕切られるので景光はたじろいでしまう。
「マジカルバナナ!ゼロと言ったら、からやり直そうや」
「わ、わかりました!」
大物芸能人の貫禄からか、この男には逆らえない何かがある。
零は先ほどから石像のように固まったままで、彼だけが1999年に取り残されてきたようだった。
1205「ゼロといったら……好きだ!」
2000年の幕開けとともにどーんと打ち上げ花火が空に舞い散る中、景光は叫んだ。
「意味が繋がっていないからアウトでーす!」
「あ、あなたは!?」
マジカル頭脳アワーの司会でお馴染みの、芸能人・板西英三がいきなり現れた。どうやらこの近くで年越し番組の中継に出演していたらしい。
「ハイハイ、やり直しねー」
急に現れたこの男に、全て仕切られるので景光はたじろいでしまう。
「マジカルバナナ!ゼロと言ったら、からやり直そうや」
「わ、わかりました!」
大物芸能人の貫禄からか、この男には逆らえない何かがある。
零は先ほどから石像のように固まったままで、彼だけが1999年に取り残されてきたようだった。
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MOURNINGホームワークが終わらない 第六章2019年2月24日秘密の裏稼業11で発行した景零小説です。
※注意
・90年代小学生設定の景零短編集です。当時流行ったものがたくさん出てきます
・本誌ネタバレあり
・時代設定や家族設定はオリジナル。モブキャラが多数出てきます
・2019年当時に書いた話なので公式と若干違う部分があります
ホームワークが終わらない 第六章【マジカル・ミレニアム】
クリスマスの浮かれように引き続き、新千年紀であるミレニアムに向けて誰もが浮足立っている。
「イルミネーション綺麗だね」
人混みではぐれないよう、ヒロと手を繋いだ。ヒロのおばさんたちとはとっくの前にはぐれてしまった。カウントダウン直前のためか、携帯電話はなかなか繋がらない。年が明けた後もしばらくは繋がらないだろうから、合流は諦めて二人でいようとヒロが言った。
「ねえ、ゼロ。ずっと聞きたかったことがあるんだけど」
「な、何?ヒロ」
どぎまぎしてしまう。夏のあの日から。ヒロの唇の柔らかさを思い出しては意識してしまう自分がいる。あれは何だったのか未だに聞き出せないでいる。
もしかしてその時のことを?マフラーに顔を埋めてヒロの言葉を待つ。
1253クリスマスの浮かれように引き続き、新千年紀であるミレニアムに向けて誰もが浮足立っている。
「イルミネーション綺麗だね」
人混みではぐれないよう、ヒロと手を繋いだ。ヒロのおばさんたちとはとっくの前にはぐれてしまった。カウントダウン直前のためか、携帯電話はなかなか繋がらない。年が明けた後もしばらくは繋がらないだろうから、合流は諦めて二人でいようとヒロが言った。
「ねえ、ゼロ。ずっと聞きたかったことがあるんだけど」
「な、何?ヒロ」
どぎまぎしてしまう。夏のあの日から。ヒロの唇の柔らかさを思い出しては意識してしまう自分がいる。あれは何だったのか未だに聞き出せないでいる。
もしかしてその時のことを?マフラーに顔を埋めてヒロの言葉を待つ。
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MOURNINGホームワークが終わらない 第五章2019年2月24日秘密の裏稼業11で発行した景零小説です。
※注意
・90年代小学生設定の景零短編集です。当時流行ったものがたくさん出てきます
・本誌ネタバレあり
・時代設定や家族設定はオリジナル。モブキャラが多数出てきます
・2019年当時に書いた話なので公式と若干違う部分があります
ホームワークが終わらない 第五章【ノストラダムスのいうとおり】
ノストラダムスの予言した通りだと、もうすぐ世界は終わるらしい。
『一九九九年七の月 空から恐怖の大王が来るだろう』という予言から、人類滅亡説が囁かれた。彼の大予言はテレビ番組でも盛んに取り上げられ、関連書籍もたくさん発売されていた。
僕はというと、ヒロと呑気に過ごしていた。僕たちはカセットテープにお互いの音声を録音しては交換することにハマっていた。ヒロはよくラジオ放送のように、トークの後に曲を流す。それがまた聴いていて楽しかった。彼には人を笑わせるユーモアがある。
『こんばんは。DJヒロミツです。ノストラダムスの予言した七月に入りましたが、僕の学校では変わりなく毎日授業があります。台風で学校が休みになるように、ノストラダムスの予言も警報扱いになって学校が休みにならないでしょうか』
4089ノストラダムスの予言した通りだと、もうすぐ世界は終わるらしい。
『一九九九年七の月 空から恐怖の大王が来るだろう』という予言から、人類滅亡説が囁かれた。彼の大予言はテレビ番組でも盛んに取り上げられ、関連書籍もたくさん発売されていた。
僕はというと、ヒロと呑気に過ごしていた。僕たちはカセットテープにお互いの音声を録音しては交換することにハマっていた。ヒロはよくラジオ放送のように、トークの後に曲を流す。それがまた聴いていて楽しかった。彼には人を笑わせるユーモアがある。
『こんばんは。DJヒロミツです。ノストラダムスの予言した七月に入りましたが、僕の学校では変わりなく毎日授業があります。台風で学校が休みになるように、ノストラダムスの予言も警報扱いになって学校が休みにならないでしょうか』
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MOURNINGホームワークが終わらない 第四章2019年2月24日秘密の裏稼業11で発行した景零小説です。
※注意
・90年代小学生設定の景零短編集です。当時流行ったものがたくさん出てきます
・本誌ネタバレあり
・時代設定や家族設定はオリジナル。モブキャラが多数出てきます
・2019年当時に書いた話なので公式と若干違う部分があります
ホームワークが終わらない 第四章【恋する文房具】
成長するにつれて男女の差は顕著になるけれど、それは持ち物にも表れると僕は思う。
クラスの女子がキラキラしたラメ入りカラーペンの虜になっている頃、男共はバトル鉛筆に夢中になっていた。鉛筆の表面に描かれたキャラクターによって最大HPが定められており、攻撃パターンや必殺技もそれぞれ違うので皆集めるのに必死だ。鉛筆を転がしては白熱するバトル。
しかし、僕は一本も持っていない。欲しいとねだる勇気もなかった。それはヒロも同じだったようで休憩時間は二人して蚊帳の外になった。
「ゼロはさ、バトル鉛筆欲しいと思う?」
いつかの帰り道、ヒロが聞いてきた。
「うーん、確かに欲しいけどさ」
あれって鉛筆削りで削ったら終わりなんだぜ、と気丈に振る舞う。どこかでクラスメイト達を羨む気持ちも確かにあった。ふでばこを覗く度にHBの鉛筆と赤鉛筆、消しゴムしか入っていない。虚しかった。だけどヒロも我慢しているのを知ったとき、薄情かもしれないけど嬉しかったんだ。
5680成長するにつれて男女の差は顕著になるけれど、それは持ち物にも表れると僕は思う。
クラスの女子がキラキラしたラメ入りカラーペンの虜になっている頃、男共はバトル鉛筆に夢中になっていた。鉛筆の表面に描かれたキャラクターによって最大HPが定められており、攻撃パターンや必殺技もそれぞれ違うので皆集めるのに必死だ。鉛筆を転がしては白熱するバトル。
しかし、僕は一本も持っていない。欲しいとねだる勇気もなかった。それはヒロも同じだったようで休憩時間は二人して蚊帳の外になった。
「ゼロはさ、バトル鉛筆欲しいと思う?」
いつかの帰り道、ヒロが聞いてきた。
「うーん、確かに欲しいけどさ」
あれって鉛筆削りで削ったら終わりなんだぜ、と気丈に振る舞う。どこかでクラスメイト達を羨む気持ちも確かにあった。ふでばこを覗く度にHBの鉛筆と赤鉛筆、消しゴムしか入っていない。虚しかった。だけどヒロも我慢しているのを知ったとき、薄情かもしれないけど嬉しかったんだ。
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MOURNINGホームワークが終わらない 第三章2019年2月24日秘密の裏稼業11で発行した景零小説です。
※注意
・90年代小学生設定の景零短編集です。当時流行ったものがたくさん出てきます
・本誌ネタバレあり
・時代設定や家族設定はオリジナル。モブキャラが多数出てきます
・2019年当時に書いた話なので公式と若干違う部分があります
ホームワークが終わらない 第三章【逃避行は計画的に】
『可愛い子には旅をさせよ』ということわざがあるけど、その言葉の通り可愛い僕らが旅に出たっていいわけだ。
「ゼロ、ヒッチハイクしよう」
まるで自分の家のように寝転んで漫画を読んでいたというのに、突然僕がそんなことを言い出したから、ゼロはギョッとしている。
「どうしたんだ、急に」
「テレビでやってたじゃん。僕もあれやってみたくなった」
あるテレビ番組で駆け出しの無名お笑い芸人『猫岩石』が、香港からロンドンまでヒッチハイクでユーラシア大陸を横断するという偉業を成し遂げ一躍人気者となった。
のちに猫岩石がリリースした『白い猫のように』は爆発的な大ヒットとなる。(僕もお風呂で湯船につかりながらよく歌う)
8643『可愛い子には旅をさせよ』ということわざがあるけど、その言葉の通り可愛い僕らが旅に出たっていいわけだ。
「ゼロ、ヒッチハイクしよう」
まるで自分の家のように寝転んで漫画を読んでいたというのに、突然僕がそんなことを言い出したから、ゼロはギョッとしている。
「どうしたんだ、急に」
「テレビでやってたじゃん。僕もあれやってみたくなった」
あるテレビ番組で駆け出しの無名お笑い芸人『猫岩石』が、香港からロンドンまでヒッチハイクでユーラシア大陸を横断するという偉業を成し遂げ一躍人気者となった。
のちに猫岩石がリリースした『白い猫のように』は爆発的な大ヒットとなる。(僕もお風呂で湯船につかりながらよく歌う)
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MOURNINGホームワークが終わらない 第二章2019年2月24日秘密の裏稼業11で発行した景零小説です。
※注意
・90年代小学生設定の景零短編集です。当時流行ったものがたくさん出てきます
・本誌ネタバレあり
・時代設定や家族設定はオリジナル。モブキャラが多数出てきます
・2019年当時に書いた話なので公式と若干違う部分があります
ホームワークが終わらない 第二章【僕らは沈まない】
居候先のお姉さんの希望で一家総出で映画を観に行くことになった。映画の内容が僕には少し難しいのではないかとおばさんは危惧していたが、自分達家族だけで出かけるのも僕をのけ者にしているみたいで。それも嫌だったんだろう。
「誰かお友達連れてきてもいいわよ」
そう言われて真っ先に頭に思い浮かんだのは一人だけだった。最近お近づきになれた、興味を惹かれる存在。
「じゃあ、ゼロって子を誘ってみるね」
隣町の映画館は校区外で小学生だけでは行けない。だから保護者付きとはいえ、ゼロと町外に遊びに行けるのはとても嬉しい。
映画を観に行く話が持ち上がったのは日曜日の夕飯時だった。今すぐこの計画をゼロに話したい衝動に駆られる。
6107居候先のお姉さんの希望で一家総出で映画を観に行くことになった。映画の内容が僕には少し難しいのではないかとおばさんは危惧していたが、自分達家族だけで出かけるのも僕をのけ者にしているみたいで。それも嫌だったんだろう。
「誰かお友達連れてきてもいいわよ」
そう言われて真っ先に頭に思い浮かんだのは一人だけだった。最近お近づきになれた、興味を惹かれる存在。
「じゃあ、ゼロって子を誘ってみるね」
隣町の映画館は校区外で小学生だけでは行けない。だから保護者付きとはいえ、ゼロと町外に遊びに行けるのはとても嬉しい。
映画を観に行く話が持ち上がったのは日曜日の夕飯時だった。今すぐこの計画をゼロに話したい衝動に駆られる。
uruuru9r
MOURNINGホームワークが終わらない 第一章2019年2月24日秘密の裏稼業11で発行した景零小説です。
※注意
・90年代小学生設定の景零短編集です。当時流行ったものがたくさん出てきます
・本誌ネタバレあり
・時代設定や家族設定はオリジナル。モブキャラが多数出てきます
・2019年当時に書いた話なので公式と若干違う部分があります
ホームワークが終わらない 第一章【ヒーローがやってきた】
零くん可哀想ねぇ。
どこへ行ってもその言葉が付き纏った。
その言葉の通り、世間一般で言えば僕は可哀想なのだろう。物心ついたときから親と呼べる人はおらず、親戚中をたらい回しにされた。どこでも厄介者扱いで快く僕を受け入れてくれる人はいなかった。
可哀想ねぇ。
耳にこびりついて離れない言葉。
可哀想だったら何なの。あなたは親代わりにでもなってくれるの。
人は、その言葉ほどには僕のことを心配などしていない。憐れんでいるのでもない。 自分より可哀想な生き物を見つけて本当は安堵しているのだ。
欲しがれば自分が傷付くだけだ。それなら最初から何も望まなければいい。
愛なんて知らない。誰も教えてくれなかったから。これからも知る必要なんてない。
4895零くん可哀想ねぇ。
どこへ行ってもその言葉が付き纏った。
その言葉の通り、世間一般で言えば僕は可哀想なのだろう。物心ついたときから親と呼べる人はおらず、親戚中をたらい回しにされた。どこでも厄介者扱いで快く僕を受け入れてくれる人はいなかった。
可哀想ねぇ。
耳にこびりついて離れない言葉。
可哀想だったら何なの。あなたは親代わりにでもなってくれるの。
人は、その言葉ほどには僕のことを心配などしていない。憐れんでいるのでもない。 自分より可哀想な生き物を見つけて本当は安堵しているのだ。
欲しがれば自分が傷付くだけだ。それなら最初から何も望まなければいい。
愛なんて知らない。誰も教えてくれなかったから。これからも知る必要なんてない。