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    マント

    銀鳩堂

    PROGRESSヤンクロ第二部20話。
    後のクロウリー学園長=大鴉のディアヴァルの物語、美しき女王編の20話。
    ハントマンと姫を森へと送り出した女王は、鏡を通して二人を監視していた。
    ハントマンが帰還したとき、女王は……。
    (本文約1200文字/豆知識約900文字)
    今回ちょい短めですみません。次のパートとの幕間のような感じで読んで頂ければ。
    ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第二部⑳話「女王の裁き」 女王は鏡の中の光景を食い入るように見つめていた。
     鏡をのぞく目はけわしく、その手は爪が手のひらに食い込むのではと思うほどに握りしめられている。
     そこに映っているのは、スノーホワイト姫が森の奥の小人の家に入り込み、安らかに眠りに付いた様子だった。
     と、ゆらりと波立つように景色が崩れた。
     鏡のおもてを緑の煙が覆い、その中からあの黒いレースの様な隈取くまどり模様のある男の顔が浮かぶ。
     女王は片手を振って「もうよい、下がれ」とだけ言った。
     再び鏡の中に緑の煙が立ち込め、それが晴れたときには男の顔はもうなかった。しかし、男が消えたあとも部屋に張り詰めた緊張は緩むこと無く、ディアヴァルは我知らずうなじの羽毛を逆立てていた。
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    hoshinami629

    PROGRESSロゼマさんがフェルさんのマントに本気で刺繍するために、色んな人と関わりながら作業を進める話が書きたいな〜みたいな感じの話。レティーツィア視点、ユストクス視点、ローゼマイン視点、フェルディナンド視点まで書けたら完成ですが完成する気がしないのでとりあえずここに上げておく。
    マントに刺繍しよう(仮) アレキサンドリアで暮らしていると、なかなか秋が深まらないと感じる。暑くもなく寒くもない、ある意味では過ごしやすい日がいつまでも続く。一応、冬には雪も降るらしいけど、積もったところは見たことがないと近所の人達から聞いた。冬支度もエーレンフェストより、ずっと簡単に済むらしい。何なら、天気さえ良ければ真冬でも市が立つと聞いた。そんな風に初めての土地の気候について話しながら、私と母さんは、繕い物の準備をしていた。
    「こちらだと冬の支度が楽で良いわね」
     母さんの言葉に頷きながらテーブルを拭き、布地を広げたところで、ガチャ、というあの音が聞こえた。続いて、隠しきれない弾んだ足音。
    「あ、マインだ」
     私が言えば、母さんも笑って頷く。ちょうど貰い物のピルネが残っていたので、それを皿に盛る。夏以来の習慣で作り置いていたお茶をカップに注いだあたりで、背後から、ただいま! の声が聞こえた。
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