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    ミスター

    M_kanLan

    DONEミスター兄弟が兄弟になるまでの話(前編)。+以上×未満です。
    なんとか一旦着地できたので投げます……続きはいつになることやら……🥲
    緑の存在証明彼がノワール城にやってきたのは、ついこの間のことだ。ミスターLと同じ格好をして、それでいて頭と首元には赤色を纏った男。

    ーーミスター∑。

    初めて顔を合わせたときにそう名前を呟いて以来、彼が口を開いたことは無い。最初こそマネーラなんかが喋らせようと躍起になっていたが、ミスター∑は少し煩わしそうな顔をして身軽な動きで逃げてしまった。そこからしばらくは鬼ごっこをしていたようだが、やがて諦めたのかマネーラが追い回すことはなくなり、無口な人間として仲間達に受け入れられていった。

    エルはミスター∑が苦手だった。
    それはあの悪趣味な赤色が憎き勇者を思い出させるから、というだけの話ではない。
    ミスター∑はいつ見てもぼんやりとした顔をしていて、動きは最小限。何をするにも気だるげなのに、与えられた任務は完璧にこなしてしまうのだ。次々に手柄を立てていく様を見ていると、彼よりも少し先にここに来たエルとしては、焦るというのが正直なところである。しかし最近はヨゲンの勇者達に目立った動きが見られず、手柄の立てようがない。やりきれない思いを抱えたまま、日に日にミスター∑への苛立ちが高まるのを感じていた。
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