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    メテオ

    ごごご

    MOURNINGいいこのたかおみくん、はやくゆめからさめておいで。
    昏迷 これは僕のこどものころの話なんですが、いつもは料理をしない母が気まぐれに晩ごはんを作ってくれたことがあったんです。僕はそれが嬉しくて、丸いテーブルの前でわくわくしながら待っていました。そうしたら、うーん、なんというか、これは草だなあと思ったものが食卓に並べられて、隆臣の為に作ったの、さあ召し上がれと笑顔の母が言うんです。釣られて僕も笑顔になって、美味しいと言いながら食べました。実際はあまり美味しくなくて、でも出された分は完食したくて、頑張ったんですが……食べていると気持ち悪くなって頭痛がして、トイレに駆け込みました。そのまま意識は遠のいて、気づいたらトイレの床で寝てました。恐る恐るトイレを出ると母はもう居なくて、料理も全部片付けられていて、謝りたい気持ちでいっぱいになったんですけど、結局また眠くなって風呂にも入らずに布団で寝ました。人形といっしょに謝る練習をして、ああ、そう、後日捨てられちゃったあの子です、母を待っていたんですが三日くらい帰ってこなかったんですね。だから謝ろうにも謝れず仕舞い。程なく学校で配られたプリントに食べた草と同じものが載っていたのでグシャグシャに丸めて捨てました。
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    いずみのかな

    DONE昔「神楽坂にそば湯が美味しい店がある」とTVで見たとき、発作的に思いついてPawooに走り書きしたものです。当時読んだ方が「救われました」と感想くださったので、タグの映画を見てぼろぼろになった方にせめてオロナイン程度の優しさですが。
    この前に長い話があっての番外編として書いているのでどこか唐突だと思いますが、その唐突感までが味わいです。
    拝啓、神楽坂にて 夏の熱を存分に貯めて足を焼くような神楽坂をのぼり、風も吹かない横道を二つ曲がると、古びて暖簾も色褪せた蕎麦屋が目に入ってくる。建付けが悪く、黒くくすんだ引き戸を開けようとすると、中から扉が引かれ、ショートカットの日に焼けた女性と出会い頭にすれ違う。すみませんと頭を下げながら中に入ると昼もとうに過ぎたというのにそこそこの客がいて、みな一心にざるを食べていた。知る人ぞ知る名店というやつなんだろう。松井は生憎グルメとは程遠い勤め人なもので、今日までこの店のことは知らなかった。
     狭い店内をぐるりと見まわすと、探してた男はカウンターで一人蕎麦湯をすすっていた。挨拶を交わすわけでもなく隣に座り、手で顔を仰ぎハンカチで汗を拭いながら奥の厨房に向かい「もり二枚」と声をかける。と、男が小さく笑うのが聞こえた。だからその腹なんだよ、と言わんばかりだ。うるさい、この仕事は体力と気力がすべてだ。今日お前の隣にこうやって座ってるのも、靴がすり切れて息切れるまで歩いて、地道に這ってでもすべてを見て聞いてきた先の成果だよ。
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