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    yaginoura0811

    DONE夏になれば思い出す。
    儚さを目指したラカアオ。
    すっかり気温も高くなり、夏特有の蒸し暑さにラカムは眉を顰めながら作業をしていた。
    ダラダラと汗が垂れ落ちる感触の気持ち悪さと、鬱陶しいほどの熱の纏わりつく感覚に思わず舌打ちする。

    「今日は特にあちぃな……ちょっと休憩…」

    作業もひと段落したところであったのでラカムはタオルで汗を拭きながら木陰を探して歩く。
    耳に入ってくる虫の鳴き声にふと耳を澄ましてみると、少年時代の頃を思い出してラカムはふっと笑みが溢れる。

    「蝉かぁ…」

    少年時代、夏になれば虫籠を下げて採取しに行っていた思い出が蘇ってくる。
    今でも蝉の声は聞く度に青春を必ず思い起こさせてくれる存在だった。

    あの時のように蝉の姿を探して木を一本一本見て回る。

    「…んー、いねぇなぁ………ん?」

    なかなか見つけられない中ふと木の近くに立って上を見上げているアオイドスを見つけた。
    とても真剣な顔にラカムは首を傾げる。

    「アオイドス、どうしたそんな真剣な顔して」
    「ああ、あれを見ていたんだ」
    「あれ?」

    アオイドスが指を差した先を見てみると、先程までラカムが探していた蝉の姿を発見した。

    「あ、こんなところにいたのか。あれは蝉 1325