向日岳人
足田おし
DOODLE向日岳人と忍足侑士がおともだちしているだけ。親友な2人の入学式次の日エピソード的な。忍足侑士は、困っていた。
「なぁオシタリってなんで関西弁?」
「ねー!ユウシくんって何かスポーツやってる?やってそう!」
転校日初日。というか入学式の次の日。
入学式には来なかったが、式後に非公式で行われたテニス部での試合。
そこで入学初日から学園(ほぼ)全員に慕われていた『跡部様』と熱戦を繰り広げた彼は案の定注目の的だった。
平均より高い身長。
独特の雰囲気を醸し出すセミロングと丸眼鏡。
そして何より関西弁という、こちらの地方ではメディアを通さないと聞かないような不思議な言葉遣い。
新入生といえど周りはほぼエスカレーター式で上がってくる学生ばかりだ。転校生とほぼ変わらない。
こうして”珍しい人間”扱いされるに十分すぎる要素を揃えた忍足侑士の周りには人が集まるようになっていた。もっとも、野次馬のようなものだが。
わいわい周りに話しかけられるのには慣れている。転校6回。珍しさに寄ってくる人間の対応などお茶の子さいさいである。
と、思ったのに。
ここの人間はどうやら一筋縄じゃいかないらしい。
「跡部様とはどんな関係なの?」
「もしかして一緒にイギリスからきたの!?」
1648
足田おし
DOODLE幽霊の向日岳人と芥川慈郎のおはなしちょっと暗いかも「ね、なにしてんの?」
おれがふわふわ飛び跳ねてると、後ろから寝ぼけた声が聞こえた。ふわふわの金髪。
あれ、ずっと思ってたけど寝癖か?
「何って、飛んでんだよ。ほら」
俺が120cmくらいぴょんっと飛び跳ねると、そいつはパッと顔を輝かせて覚醒したようだった。
「すっげ〜!!まじすげぇ!!もう一回!もう一回やって!」
あんまり目をきらきらさせて強請られるものだから、ぴょん、ぴょんといつもより高く飛ぶ。
楽しい。
人に飛んでいる姿を見られるのは好きだ。
みんな驚いたり、たまにこいつみたいに楽しそうにしてくれる。俺だけを見ていてくれる視線は心地良い。
「なー、どうしてそんなに高く飛べんの?」
「んー?一日一跳って言葉しらねぇ?」
「なにそれ?」
「俺が作ったことわざ!」
ぐるっとムーンサルトをすれば、またそいつの目は輝いた。
「一日一回高く飛べばその分飛べるようになるんだよ。やってみそ」
「忍者みてぇ!」
あっはっはと豪快に笑い出したそいつは、制服のブレザーを敷いた床の上にごろんと横になる。
「おれにもね、きみに似た幼馴染がいたんだけど……もういないみたい」
「 1260