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    団長

    きたまお

    TRAININGのろける団長が書きたかったがあまりのろけなかったエルリ狂犬だとか野良猫だとか言われていることは承知していた。否定する気にもなれない。地下街ではたまたまファーランとイザベルとつるんでいたが、もともとひとりが性に合っている。
     だが、世の中には物好きがいるもので、その最近入った狂犬とやらを見てみたいという御仁があらわれたそうだ。キースの部屋に呼び出され、渋面を作った団長直々に「一日だけある方の護衛を頼みたい」と言われた。
    「調査兵団は壁の外に行くのが仕事じゃねえのか」
     腕を組んだまま言う。机に肘をおいたキースがため息をついた。
    「そう言うだろうとは思っていたが、有力な後援者のご機嫌をとるのも必要なことだ」
    「俺はたまたま立体機動装置を使いなれて、巨人をそぐのがうまいだけだ。壁内で人間相手に手加減するなどできねえ。殺しちまう」
     事実だから仕方がない。殺すことは慣れていても、殺さないように手加減することは慣れていない。
     もう一度キースがため息をついて、顔を斜め上にあげた。視線の先にでかい金髪の男が手を背中側に組んで立っている。エルヴィンは大きな目をリヴァイに向けて口を開いた。
    「調査兵団の仕事は壁外を巨人から人類の手に取り戻すこと。壁外調査 1916