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    多田

    shigeru5th

    DOODLEポイピクで小説投稿初めてやる
    無人島本の息抜きに書いた姫視点
    漫画にするとお互い黙ってるけど同じこと考えてる系のコマで表現するんだろうな
    宇多田ヒカルのDistanceをぼんやり思い出しながら
    夏の距離感 いつも通りの距離のつもりで傍に寄ったら、脳髄を揺さぶる匂いを感じてくらりとした。
     レオナールの匂い。汗ばんだ素肌から揮発するフェロモン。生物的な本能を刺激する、抗いがたい何か。
    「大丈夫かい?」
     砂の上でよろめいた栖夜に、レオナールが咄嗟に手を差し出す。背中を支えてくれる掌の大きさも、南国らしい薄手のワンピース越しだとより大きく熱く感じる。
    「ぬ。ありがと」
     膝に力を込めて姿勢を正すと、レオナールはほっとした顔で掌を離した。さりげなく距離を置かれて、栖夜の胸がツキンと痛む。
     もしかして汗臭かっただろうか。栖夜もまた、肌にうっすらと汗を掻いている。昔の貴婦人は体臭を良くするために薔薇水を好んだと聞くが、栖夜の食生活は睡眠第一。ビタミンの多い野菜や果物も食べるが、怪鳥卵やけんこうミルクといったタンパク質や乳製品も良く摂る。こうした食べ物は体臭を濃くしてしまう。水をたくさん飲んだとしてもセクシーのように涼やかな体臭は難しい。
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