夜行列車
転生の毛玉
DOODLE【ヴィジットノベル】赤井さんメイン。閉鎖病院はどうしたって時代が違うので、無理矢理に捏造キャラを出しました。
閉鎖病院「薬剤師の処世術」後、夜行列車や上野発よりも前。
パスは隅付き括弧内 1756
🟣文庫
ArtSummary2022⚠友人に書きました2j3jkgmさんの夢です。ご理解のある方のみお進みください!
カラーパレット
夜行列車 明ける 知らない
夜の旅 久々に訪れた彼の自室でなんとなく見ていたテレビは、塞ぐように現れた彼の端正な顔で見えなくなった。
「たまには旅行でもどうでしょうか」
頭を傾けて揺れる優しい色の茶髪に見惚れながらも、突然の誘いに「はい」と自然に声が漏れ出ていた。少しぶっきらぼうな声色は緊張していたのだろうか、旅行の了承を得てからは一気に声も表情も明るくなった。
「では早速予定をお聞きしたいのですが」
用意周到さはさすが取締役代表と言ったところで、あれよあれよという間に旅行の計画が立てられていた。彼の自室のソファに二人でもたれて団らんする度に、話題は旅行一色だった。
───
「大まかな旅行先は決まりましたが、具体的に行きたいところとかはありますか?揺蕩さんが希望する場所があったら是非そこに行きましょう」
2352「たまには旅行でもどうでしょうか」
頭を傾けて揺れる優しい色の茶髪に見惚れながらも、突然の誘いに「はい」と自然に声が漏れ出ていた。少しぶっきらぼうな声色は緊張していたのだろうか、旅行の了承を得てからは一気に声も表情も明るくなった。
「では早速予定をお聞きしたいのですが」
用意周到さはさすが取締役代表と言ったところで、あれよあれよという間に旅行の計画が立てられていた。彼の自室のソファに二人でもたれて団らんする度に、話題は旅行一色だった。
───
「大まかな旅行先は決まりましたが、具体的に行きたいところとかはありますか?揺蕩さんが希望する場所があったら是非そこに行きましょう」
ムー(金魚の人)
DONEモクチェズワンライ1218「吹雪」で参加です。ヴ愛の夜行列車から飛び降りた直後のモさんの独白。
目の前に広がるキャンバスを彩るのは、白と黒の2色だけ。
光も通さない夜闇の黒。
足を囚える雪原の白。
天と地の境界を曖昧にするのは灰色の吹雪。
「――………」
深夜の雪山を歩み進めるひとつの影があった。
ヴィンウェイの夜行列車から飛び降りたモクマだ。雪深い高山を列車の進む方向とは逆側へ向かって突き進む。下半身全体で雪を掻き分けながら、目を凝らす。
「……!」
モクマのまだ踏み入れていない地面に穴があった。穴から手前へ引きずるようにして伸びるミミズ腫れのように盛り上がった雪は、モクマ以外の人間が通った跡に違いない。モクマを置いて先に雪原へと逃げてしまった男の存在証明へモクマは飛びついた。
雪原の中、真っ白なキャンバスに引かれた黒い線を辿ろうとモクマは足を持ち上げた。
1555光も通さない夜闇の黒。
足を囚える雪原の白。
天と地の境界を曖昧にするのは灰色の吹雪。
「――………」
深夜の雪山を歩み進めるひとつの影があった。
ヴィンウェイの夜行列車から飛び降りたモクマだ。雪深い高山を列車の進む方向とは逆側へ向かって突き進む。下半身全体で雪を掻き分けながら、目を凝らす。
「……!」
モクマのまだ踏み入れていない地面に穴があった。穴から手前へ引きずるようにして伸びるミミズ腫れのように盛り上がった雪は、モクマ以外の人間が通った跡に違いない。モクマを置いて先に雪原へと逃げてしまった男の存在証明へモクマは飛びついた。
雪原の中、真っ白なキャンバスに引かれた黒い線を辿ろうとモクマは足を持ち上げた。
ai_42omo
DONE【CP要素なし】冠萱さんと虚淮の冒険。バックパッカーの旅をするふたり。夜行列車のコーヒー。山奥の伝説の食べ物。※アンソロに載せようと書いたまま寝かせておいたものです。2021年12月頃の作。 8
rokuta456
DONE夜行列車に乗るふたり。イベントで頒布した本「春の隅」の書き下ろし部分です。
夜行列車ふと気がつくと、揺れる列車の中にいた。
そもそもそこから妙だった。
近頃の私の生活は、いたってごく静かなものであった。館の謹慎期間が明けても与えられた部屋から外に出ることは殆どなく、一日の大概をその部屋で過ごしていたからだ。
インドアと言えばいくらか聞こえが良いが、ようは単なる引きこもりだ。自覚している。
だが、別段閉じこもろうという強い意思があったわけでもない。元より兄弟分と違ってあちらこちら動き回るのは向かないたちで、おまけに、思ったより今の部屋は居心地が悪くなかったのだ。
半ば厄介払いのように妖精会館管轄の牢を追い出されたのは二年前。しばらく監視下での生活を送った後に紆余曲折を経て選んだのが、今のワンルーム。窓が広く、光をよく集める、がらんどうの部屋。そこで日がな一日、特に何をするでもなく静かに過ごす。たまに仲間に呼ばれたら外に出て、買い物なんかをして、人間の店で、あるいは日当たりの良い公園で話をして、また家に戻る。私の暮らしぶりは、どこにいても変わらなかった。かつてはその場所が故郷の森で、今より少し賑やかで、そして少しだけ、暖かかった。違いといえば、そのくらいだと思っていた。私が一日中家にいようが外にいようが、誰と何をしていようが関係ない。
10777そもそもそこから妙だった。
近頃の私の生活は、いたってごく静かなものであった。館の謹慎期間が明けても与えられた部屋から外に出ることは殆どなく、一日の大概をその部屋で過ごしていたからだ。
インドアと言えばいくらか聞こえが良いが、ようは単なる引きこもりだ。自覚している。
だが、別段閉じこもろうという強い意思があったわけでもない。元より兄弟分と違ってあちらこちら動き回るのは向かないたちで、おまけに、思ったより今の部屋は居心地が悪くなかったのだ。
半ば厄介払いのように妖精会館管轄の牢を追い出されたのは二年前。しばらく監視下での生活を送った後に紆余曲折を経て選んだのが、今のワンルーム。窓が広く、光をよく集める、がらんどうの部屋。そこで日がな一日、特に何をするでもなく静かに過ごす。たまに仲間に呼ばれたら外に出て、買い物なんかをして、人間の店で、あるいは日当たりの良い公園で話をして、また家に戻る。私の暮らしぶりは、どこにいても変わらなかった。かつてはその場所が故郷の森で、今より少し賑やかで、そして少しだけ、暖かかった。違いといえば、そのくらいだと思っていた。私が一日中家にいようが外にいようが、誰と何をしていようが関係ない。