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    小説

    zeppei27

    DONEなんとなく続いている主福のお話で、単品でも読めます。御前試合の後、隠し刀が諭吉に髪を整えてもらうお話です。諭吉の断髪式に立ち会いたかった……!どうしてなんだ、諭吉!
    >前作:探り合い
    https://poipiku.com/271957/11594741.html
    まとめ
    https://formicam.ciao.jp/novel/ror.html
    枝を惜しむ もう朝である。障子を通り過ぎた陽の光に瞼をぴくりと動かすと、諭吉はうっすらと浮かび上がっていた意識を完全に現実へと上陸させた。つい先ごろうたた寝をしながら書物を読んでいたつもりが、いつの間にやら轟沈してしまったらしい。やるべきことは山積していると言うのに、ままならぬものである。光陰矢の如しというが、このところは本当に年中時間が勝手に体を通り抜けていっているような気がしている。国全体が大きなうねりの中にあって、置いていかれぬためには必死で鮪のように泳ぎ続けねばならない。
     無意識のままに簡単に身支度を整え、ここが勝海舟の邸だということを再認する。要するに仕事で一日を食い潰したのだろう。どこを向いても自分くらいしかできないだろうという未来が転がっているので、少しも気の休まる日がない。顔を洗ってもしっくりしないので、朝食を終えたら(もちろん太っ腹な勝であれば出してくれるに決まっている)朝湯に行って仕切り直しを図ろうか。鏡を見て、自分の髪を整え直し――諭吉は鏡の端に写った相手に会釈した。
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    箱の裏

    PROGRESS時間軸は最終回くらいのオニキド 試しで序盤だけ載せてあります
    名前はヒーローネームのままにしてあります
    △注意! 二人の家族、職業など完全に捏造、オリジナルキャラクターも出てくる私による私のための妄想小説です
    そういうパロと思って読める方だけお読みください
    少年よ、「あんた、誰?」


     暫く仕事で忙しくして久方ぶりの逢瀬の最中、突然青ざめてベッドを飛び出していった恋人に、オニマーが言われた台詞である。
     キドウは裸のまま追い詰められた洗面所の隅で戦意よりも不安が勝った声でそう言い、次いで鏡に映った自分の顔を見て「えっ」と口に出した。まるでそこに見覚えが無い誰かが映ってでもいるかのように。

     結論、キドウは現在精神年齢だけが16歳に退行している――否、この場合は16歳以降の記憶が抜け落ちていると言うべきだろうか?なんにせよ、自分のヒーローネームも、エンデヴァー事務所のことも、共に暮らす恋人のことも一切覚えが無いということらしい。


     おふざけにしては度が過ぎているその態度に自らも面食らい、また困惑しながらもそこまでを聞き出したオニマーは、ペットボトルから茶を注ぎながら、ソファに座らせたキドウを肩越しに覗き見た。
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