Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    小説

    bktous

    MOURNING漫画にできないけどぼんやり考えてたの小説もどきにでもしようかなって。
    転生ってむずくないすか?環境や経験が違うとやっぱり同じにはなれないと思ってしまうけど、でも知ってるってどういうものなのかなって考えた話

    ーーー
    ▼読む前の注意点

    ●脹虎ではない
    ●イタドリが結婚して子供もいる
    ●転生した脹相(仮)にもちゃんとした家族がいる
    ●絡みも一切ない本人達と思って読まない方が良い


    ーーーーーー
    転生した話きっかけは些細なことで

    授業の小テストをカンニングしようとした罰に友達と一緒に理科準備室の棚の掃除を手伝わされてホルマリン漬けの持ち心地に覚えがあるような?

    なんだっけこれ

    小指のささくれみたいになんとなく気になって
    その「?」が知りたくて紐をたぐりよせるように考えた

    家に帰ってスマホで動画をダラダラ見て過ごしたらささくれのことはすっかり忘れて
    季節ハズレのアルゴリズムで流れてきたハロウィン料理でウインナーでできた指のパスタを見てもとくに何の感情も無く
    日が経つ

    「ただいまー」
    大福を食べてる母さんがテレビに目を向けたままおかえりと声を返してくる
    「何食いよん」
    「山本のお婆ちゃんがくれたの」
    あんたも食べる?
    そう言って机の上の箱をこちら側に寄せてきた
    2295

    アンドリュー(鶏)

    DONEⅢED後の大統領2主が15年ぶりにかつての本拠地を訪れるお話。
    (2主→リオウ、ぼっちゃん→ティル)
    Ⅱ軍師組やぼっちゃん、フッチなどが出ます。タイトルと時系列で察せられるかもしれない、あの人の話でもあります。

    令和になって突然小説を書き始めたわたしの、人生初同人誌だったりします。Ⅲの結末への愛と祈りをせいいっぱい込めました。
    そういう意味でも個人的に思い出深くて好きな作品です。
    風の在る理由 斜陽が草原を明々と染める中に草の香りを孕んだ風が舞っている。デュナン共和国、サウスウィンドゥ市に続く街道を青年はただ一人で歩いていた。風が優しく包み込むように過ぎて行って、彼の黒髪を包んだバンダナが宙に舞う。
     突然、穏やかだった風が鋭さを増して青年に襲いかかった。一瞬の出来事であったが、その風に立ち止まった彼──ティルの表情は少しばかり翳ったように見えた。
    「……そうか」
     街道の先にあるデュナン湖を見据え、ティルはぽつりと呟いた。
    「君も、逝ってしまったんだね」
     彼はしばらくその場で風に吹かれるまま佇んでいた。そしてまた、一人でゆっくりと街道を進んでいく。これから訪れる夜を思わせるような冷たさが降り掛かってくる。風はただひたすらに彼の背を押すような追い風だった。
    59561

    アンドリュー(鶏)

    DONEⅢ本編5年くらい前の赤毛軍師兄弟の話。
    シーザーから見た兄の話と、アルベルトから見た弟の話の2本立て。
    実在する某超有名推理小説が作中に出てきますが、ゲーム本編にもロミジュリとかが脚本として出てくるのでいいかなと思ってやりました。細かいことは気にしないスタンスで見ていただけると嬉しいです。
    いつか来る瞬間のためにⅠ.いつか来る瞬間のために 目の前の本を開くと黴臭い埃の匂いがした。鼻の奥と喉がむずがゆくなって、ごほごほとむせ返る。舞い上がった埃が窓から射し込む午後の陽光に白く照らされていた。

     シーザー・シルバーバーグは生まれ育った家の自室でひとり机に向かっていた。目の前には先ほど開いた一冊の本と、広げられた一枚の紙。開いたままのインク瓶の隣には、なかなか書くべきことが思いつかずに投げ出されたペンが転がっている。開いた本から舞い上がった埃に出鼻をくじかれたシーザーだったが、めげずに開いた本を文字を追い始める。ある国の興亡が記された何十年も前の歴史書はところどころページが黄ばんでいて、書かれている言葉遣いもそれはそれは古めかしいものだ。普段の彼なら望んで手にしないようなその本は、彼の家庭教師が手渡してきたものだった。指で一行ずつ、ところどころ掠れた文字を辿る。が、開いたページの次もめくらないうちに十二歳の少年は椅子の背に勢いよくもたれかかった。
    24925