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    mayooh07Z

    MOURNINGワンライお題「月下」で書きたかったものです…きりの良いところまできたので供養します🙏
    ここから、枝で切った怪我を優しく治療してもらえた善逸は炭治郎に惹かれ、炭治郎もかっこよくギャップのある善逸のことが気になり、交流が続きます
    月下の出会い 強い風が吹いて、咄嗟に目を閉じる。瞼の裏で夜の闇が濃くなったのを感じ、それはすぐに月を隠している人物がいるからだと分かった。
     空高く跳び上がり、空を仰ぐ炭治郎と月の間に浮かんでいるのは──月下の美しい剣士だった。


    「炭治郎ちゃん、今日はもういいよ。それを片付けたら戻って休みな」
    「ありがとう叔母さん。でも、あと少しだから」
     目の前に広がる稲穂を抱え、鎌を入れる。今日はもうどれだけの稲を収穫しただろう。こうして稲作を営む縁戚の家に炭治郎が手伝いに来るのは、毎年の恒例だった。
    「そうかい?そうしたら、暗くならないうちに戻るんだよ」
    「うん、分かってる」
     炭治郎の家は、裕福ではない。父の炭焼きの技術は一級品だが、それでもそれだけで家族六人が食べていくにはぎりぎりだった。こうして炭治郎が、知り合いの家や親戚の家に手伝いに行き、小金を稼ぎだしたのは十を過ぎた頃からだろうか。数日間だけだが、泊まっている間はご飯も食べさせてもらえる。農家の繁忙期には猫の手も借りたい。そんなときに炭治郎は猫の手ならぬ虎の手並みの働きを見せ「炭治郎は働き者で素直で良い子だ」と、親戚中でも評判だった。
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