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    決戦

    甘味。/konpeito

    TRAINING本日の800文字チャレンジ
    好きだと伝えたい/Ⅳ最終決戦前夜クロリン
    「ただ、聞いてくれるだけでいいんだ」
     好きだと告げたはずのリィン・シュバルツァーは控えめな笑みを浮かべていた。世界大戦前夜、ミシュラムでのことだった。
    「返事が欲しいとか、先を望んでいるとか、そういうのではないんだ。どうしても、今夜伝えないと後悔しそうだなと思ったら、ついな」
     クロウ・アームブラストは、リィンの眷属としてこの世に繋ぎ止められているだけにすぎない。彼の想いに答える権利なんてなかった。
     取り繕った笑顔から目を逸らした。強ばる頬に伸びそうな手を制した。それでも行き場のない想いが彼の名前になってこぼれる。
    「リィン……」
     一度きつく目をつむったリィンは話題を変えるでもなく話を続けた。
    「好き、なんだ。好きで好きで、なんでこんなに好きになってしまったのか、いつから好きになっていたのかもう分からないくらいなんだ」
     酒の入ったコップへあふれるほどの好きを注いだリィンは、最後に微笑んで最終決戦へ挑んだ。
    「で、あんだけ人に熱烈な告白しておいて今さら逃げるなんてどういう了見だ。おい」
     散々追いかけっこを繰り返したリィンを木の下へ追い詰めたクロウは、彼の両腕を木に縫いつけていた 850