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    甘味。/konpeito

    800文字チャレンジだったりssを投げる場所

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    甘味。/konpeito

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    本日の800文字チャレンジ
    クロリン/Ⅳ決戦前夜ミシュラムにて
    星降る夜にキスをして

    「マキアス、無事に戻れたかな」
     先に失礼すると去っていった背中を思い出し、リィンは眉を曇らせた。
    「どうだろうな、かなり酔ってたからな。お前もあんま飲みすぎるなよ」
    「分かっている」
     最初は困った様子を見せていたクロウが途中からからかうような口振りになり、つっけんどんな返事をしてしまう。からから笑う彼を横目に、ため息をついた。
     そうしていくらか酒を飲み交わした頃、そろそろお開きにしようとホテルへ向かっていた時だった。
    「少し、酔い醒ましに歩かねえか」
     そう言ったクロウに連れられてやってきたレイクビーチはすっかり静まり返っていた。窓から見上げた、星の数ほど空に浮かんでいたスカイランタンはなく、花火さえ上がっていない。
     ただ、寄せては返す波の音だけが辺りに響き渡っていた。
    「ほれ、リィンの分」
     こよりを差し出され、思わず受け取ったリィンは暗闇のなかでそれをじっと見つめた。
    「手持ち花火、にしては細くないか」
    「これは線香花火。ま、試しにやってみな」
     クロウの手で先端に火をつけられたそれは、派手なものではないが、粘り強く火花を散らしている。柔らかな炎に浮かび上がったクロウの輪郭に息を飲んだ瞬間、リィンの線香花火が落下した。
    「あ……」
    「クク。油断したな?」
    「笑っているが、クロウのも落ちたぞ」
     視線が絡み、笑い合う。それからもう一度、線香花火に火をつけた。
     パチパチ弾ける火花が少なくなっていく。雫のような火の玉が勢いを失っていき、やがて消えた。
    「あれ、成功なのか」
    「上々だ」
     ビーチを眺めるクロウへ身を寄せた。触れ合った腕を絡ませ、手のひらを合わせるように手を繋ぐ。絡んだ手が引かれ、リィンの手の甲へ唇が寄せられた。
    「明日に向けての験担ぎみたいなもんだな」
    「クロウ。占いの件、忘れていないよな」
    「ああ、分かってる」
     優しい口付けが降ってくる。冷たい彼の唇へ、熱を分けるように何度も何度も口付けた。
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