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    nekoyamanagi

    DONE読ドロwebオンリー開催おめでとうございます。
    こちらはイベント限定、新規展示小説となります。
    とある吸血鬼により、千年眠りにつく読ロさんの話となっております。全年齢です。
    話の都合上、完結はしておりません。前編扱いとなります。
    前後編合わせて、6月のイベント、星に願いをにて新刊でお出し出来ればと思っています。
    千年先の揺籠でカナリアは愛を唄うガウン、と響く銃声と夜闇に立ち昇る硝煙の香り。風に翻る赤いマントを靡かせて、銀色の銃を構えた男は、その冷たい青の双眸で目の前の吸血鬼を見下ろした。
    顔の横すれすれを撃ち抜かれ、その後ろの壁には銃弾が突き刺さっている。
    普段であれば人懐っこい態度で飄々と笑う男であると言うのに、今はまるで見る影もない。
    温度の無い冷え切ったその青の瞳は、ただただ絶対零度の視線を恐怖にへたり込んだ吸血鬼へと注いでいた。
    「……おみゃあ、“紡ぎ車の魔女”を知っとるか?」
    低く、感情を押し殺した様な声で、その赤の退治人は問いかける。恐怖に絡め取られた吸血鬼は、その問いかけに直ぐに応えられるだけの度胸は持ち合わせていなかった。
    あ、とか、うぅとか呻くだけのその吸血鬼の様子に、レッドバレットは冷えた瞳を更に細め、その銃口を容赦なく吸血鬼の眉間に突き付けた。
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    dressedhoney

    DOODLEPixivへ既に投稿済みのもの。一応こちらにも。
    円卓の露台で深い眠りに落ちるロジェールを、Dが叩き起こす話。
    Dロジェ。2人は付き合っていないけど、甘くて、暗くて、短い。

    ロジェールは【冷静】の魔術を息するように己にかけていたと思っているのですが、それでも抗えない眠気とあらば、さぞ恐ろしかったでしょうね。
    銀の禅譲、金の簒奪 生きている。
     生きているということは、起きているということだ。
    「……D、おはよう、ございます」
     私が円卓の露台へ根を生やしてから、それなりに経った。まさか比喩表現でもなく、本当に木の根を自分が生やす日が来るなんて、狭間の地を訪れた頃の私は夢にも思わないだろう。
     今は一体、いつだろうか。寝ぼけまなこでDを見つめれば、彼はサッとフェイスプレートを下ろし、感情を読ませない鎧の中へと引っ込んでしまった。
    「あの、D」
     そのまま体も帰ってしまう。すぐ近くの大祝福にとどまっているようだが、私に追いかける術はなかった。
     ――熱い、唇が。私の体の中で確かな燻りを感じるのは、今やそこだけである。
     半屍と称される肉体。下半身は、とうに眠ってしまっていた。上半身もいつ冷めるかといったところで、雪濃い森の冷気に晒されたような古い殻は、常に強い眠気を運んでくる。
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