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    花束

    do_ta_do

    DONE炎博『隠し持った花束』
    炎さんお誕生日おめでとう
    うっすら性的描写あり
    隠し持った花束 ここでもない、あそこはもう探したんだ。ああ、何処にあるのだろう。

     そうわざとらしく呟きながら、私室の収納を意味もなく開けたり、閉めたりを繰り返す。職業柄嘘に基づいて振る舞うことには慣れているものの、鋭い視線が突き刺さりながらのこの行動は恐らく、彼にとっては大層滑稽に映るのだろう。しかし手を止めることはできない。小さな願いを無意にすることなど不可能であるのだから。

     痛む股関節や重苦しい眠気を引き摺りながらも、ドクターは最低限の服類が詰まった引き出しに手を入れ弄る。しかし何も探してはいないのだから、その脈絡の無さはあまり長くは続かない。指先には薄厚入り混じった布が触れるのみだった。

     エンカクが朝部屋から出て行こうとした時、プレゼントを無くしてしまった、と抑揚のない声に引き留められたのだ。ドクターは相変わらず部屋中の収納を見てはあからさまな溜息を繰り返している。夜間から暖房が点けられたままの部屋は心地よいものの、目の前の行動は何とも目に余る。ベッドに腰掛け数分が経過したところで、エンカクは溜息混じりに口を開いた。
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    tono_bd

    DOODLE昨日のイベストの熱が冷めずに書き殴りました。
    正しい相手に贈らないと戻ってきてしまう花束を押しつけられたフィガロの話。
    カプ未満くらいの絵本のような優しい話を目指しましたが、実際どうかは分かりません。
    ネロ、ラスティカ、シャイロックが友情出演します。
    押しつけられた花束を持て余すフィガロの話 花束をもらった。
     正しくは、中央の国の市場にある花屋で人間の花売りに強引に押しつけられた。
     薬の調合に使う材料や包帯を買い足そうと市場を歩いていたら、その花屋のワゴンの前で微かな魔力に反応して目線を向けてしまった。すると見計らったかのように店主が現れて、「これはあなたが持って帰って。気に入ったみたいなの、お代は要らないから」と花束を押しつけてきた。早々に厄介払いがしたかったのだろう。花束にかけられていた魔法は呪いの類いでは無いけれど、商品としては欠陥品だ。
     つまりは、正しい人が正しい人に渡さないと元の場所に戻ってきてしまう。そういう面倒な魔法がかけられていた。難しい魔法では無い、条件を満たせば良いのだ。けれど人間には持て余してしまっただろう。どうしてその花束が人間が営む花屋にあったのかも謎だが、自分がその正しい人の片方に選ばれてしまった理由も謎だ。
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