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    賢者

    higuyogu

    PASTミトピ。賢者と呪い。耳掻き。ぷらいべったーから「うーん、なかなかいないもんだな…」
    宿屋のとある一室、賢者様はこのあいだ立ち寄った村で買った、へんてつのない棒を耳に突っ込んで遊んでいる。さっきからずっと耳に棒を入れては引っ張り出し、ない、とれない、と溜息をついていた。

    ボクはこの賢者様と世界各国をあてもなく旅をしている。完全に理由が無いといえば嘘になるが、やっていることはほとんど観光と変わらない。賢者様はボクの師であり保護者代わりでもある。

    賢者様が耳かきと格闘しているその隣のベットで、ボクは久しぶりにあじわえるベットの柔らかさを噛み締めながら、スマホをいじりブログの更新に苦戦していた。
    ベットが久しぶりというのも、連れの賢者は大の野宿好きなのだ。どのくらいの熱中ぶりかといえば宿屋がすぐそばにあるにもかかわらず野営するくらいで、なかなか泊まることができない。
    だからこのふかふかに全身を預けている(しかも日が落ちる前から!)今は貴重な時間である。が、なかなかブログ記事のネタが浮かばない。これではふかふかも台無しだ。なんとか早く書き終えて身も心も預けてしまいたいのに。

    「耳かきされてみません?」
    唐突だった。まさかこちらに矛先が 4914

    ksrg08871604

    REHABILI寝れない賢者に気づいたルチル
    お題ガチャに沿って書いたセルフワンライです
    変なところで終わります
    ほろ酔い気分で廊下を歩いていたルチルは広間からあかりが漏れていることに気づいた。夜も更けた午前零時。またミスラが眠れずにいるのかも、と中を覗いた彼が見たのは華奢な後ろ姿だった。焦茶のロングヘアは彼女に違いないだろう。
    「賢者様?」
    呼びかけると緩慢な動作で目の前の女性が振り向いた。
    「あ、ルチルでしたか。」
    心なしか目の縁が赤い。涙の跡はないが泣いていたのかもしれない。ルチルは心を痛めて口を開きかけたが慌てたように賢者がそれを遮って話し始めた。
    「あの、別に何かあったわけではないんですが……。ちょっと夢見が悪くって。」
    「夢見、ですか。」
    「すぐに寝ちゃうと続きをまた見てしまいそうでここまで来ちゃいました。」
    誤魔化すように、から笑いする賢者の顔色は彼女を照らす月光の青白さを抜いても良いとは言えない。確か明日も午前中から西の国で調査があると言っていたはずだ。こんな様子の彼女へただ眠りなさいと勧告するのはあんまりだけれど、このまま徹夜するのも体が心配で、どうしたらいいか考えあぐねながらルチルは賢者の佇む窓辺へ歩み寄った。
    「賢者様……。」
    なんの気はなしに窓枠へ添えられた賢者の手に自分の 1913