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    桜庭🌸

    DONEそう長くない人生で、いちばんそばにいたいと思う相手とはいつも離別していたことばかり思い浮かぶ。両親然り、友人然り。
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    ネ氏とシくん
    「明日世界が滅ぶ」なんて噂めいたものを耳にした二人のお話
    死ぬにはもってこいの日 十数度目のコール音を聞いたところで、シドは通話終了のボタンをタップした。だらりと下げた腕の先、スマホのロック画面には、今日のTO DOリストとリマインダー通知、ニュースアプリの最新情報の通知がずらりと並ぶ。
     そこに、新たな通知とアラーム。出勤のため、部屋を出る時間だ。ベッドサイドの姿見に映った完璧執事の笑顔を確認して、シドは自室を出た。

    ***

     時計を確認し、シドは使用人用のダイニングルームへ向かう。主人が昼食をとる一時間が、シドの昼休みだ。メイドに給仕の仕事をしてもらっているその時間で、昼食をとり、午後の予定とタスクの確認をして、可能であれば仮眠をとる。これがシドのルーティン。
     少しゆっくり昼食をとれるな、とシドは考える。明日のパーティーが中止になったため、主人の召し物を選び、主催や招待客のデータを記憶するといったタスクがなくなった。シドは丁寧に椅子を引き、間続きになっている厨房にいちばん近い席に座った。
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