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    青さん

    fuji_u2dch

    MOURNINGホシクジラ(宇宙鯨)という種族の青さんのお話を書こうとしてあまりのファンタジー感の強さにやめたもの

    ホシクジラ(宇宙鯨)とは?
    宇宙を泳ぐ鯨。幻想種のうちの一つ。海の鯨と似た身体をもつが、これまで関わったことのある種族のカタチを借りることもでき、言葉を交わすことも出来るらしい。
    生き物の夢を餌とする。これまで食べてきた夢を身体に貯蓄することで、透明な身体の中で星が瞬くようにも見える。
    宇宙飛ぶクジラは夢をみない 潮騒の音と月の静けさ。宵闇の安寧と夜風のせせらぎ。それらに浮かされて、すいと尾鰭で静まり返った星海を蹴った。
     人型をしていたならばきっと、鼻歌を奏でたであろうぐらいには、ホシクジラの鬱は上機嫌だった。このような夜には、美味しい食事が摂れる。事実、先ほどの海辺近くの家で眠っていたニンゲンの夢は、少しばかり食んだ瞬間にすぅと融けるような心地よいものだった。きっと水晶を食べた時は、あんな味だ。無味のようでいて、しかし爽やかで。後味の引かない涼しさに、それから少しばかりのうらさびしさをアクセントに添えて。見事にホシクジラとしての鬱が好む夢だった。
     腹ごなしも済んで、なんとはなしに人の多い都市部へ方向を変える。文明の灯りが灯された建物の聳え立つ空へ。泳ぎにくいけれども、どうせ自身を気にするイキモノは少ないからホシクジラは悠々と尾鰭を上下させ、身体を泳がす。時計塔だかなんだか知らないが、邪魔な建物を目印に。夜なのによおやるわと胸のうちで呟いて、目下のいくつもの光を眺める。月夜の海面より、地上はよっぽど眩しかった。
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