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DONE@isolation_CTうっすい夜鈴と胡蝶の過去編
思い出は泡沫 それは月の無い夜のこと。騙され、殺されそうになり、妻と幼い娘を連れて、命からがら逃げ込んだのは隔離中華街と呼ばれる場所だった。
あやかし達が閉じ込められている危険な街だが、追手のことを考えれば何処だって危険には変わりない。むしろ、ここなら追手もあやかしを警戒して動きも鈍くなるだろうから、他の場所よりも安全かもしれない。
妻と娘はもう限界で何処かで休ませたかったが、冬の寒空の下、碌な暖房器具もないため足を止めることはできなかった。
全く人気の無い街の中あてもなく彷徨い、明かりがついている場所を見つけた。薬局の看板を提げているが、戸は閉じられ、障子窓の向こうに誰かの影が写っていること以外はわからない。妻に何かあれば直ぐ娘を連れて逃げるのだと言いふくめ、意を決して戸を叩いた。
3833あやかし達が閉じ込められている危険な街だが、追手のことを考えれば何処だって危険には変わりない。むしろ、ここなら追手もあやかしを警戒して動きも鈍くなるだろうから、他の場所よりも安全かもしれない。
妻と娘はもう限界で何処かで休ませたかったが、冬の寒空の下、碌な暖房器具もないため足を止めることはできなかった。
全く人気の無い街の中あてもなく彷徨い、明かりがついている場所を見つけた。薬局の看板を提げているが、戸は閉じられ、障子窓の向こうに誰かの影が写っていること以外はわからない。妻に何かあれば直ぐ娘を連れて逃げるのだと言いふくめ、意を決して戸を叩いた。