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    XI

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    DONE※ライチの種はきちんと除いてから食べましょう。
    『光の庭』読了後推奨ですが、時代は現代、細かい設定は改変しています。シンの女遊び設定がなくなったりとか。

    続編制作予定です。シンが香港に到着してから、若様と心身を通わせる話です。
    茘枝 夕方、月龍から荷物が届いた。
     月龍が香港に拠点を移してから半年ーー六月の初夏。大学から一度自宅に戻り、いつも通り英二の自宅へ向かおうとしていた頃だった。呼び鈴が鳴り、背負っていた荷物をおろした。ドアを開け配達員から箱を受け取ると、冷蔵で送られてきたのだろう、冷やりとした温度が手を伝ってくる。
     シンは、伝票を見るまでもなく、これの送り主を思い出した。そういえば二日前の晩、月龍から連絡をもらっていたのだった。

    ===


     普段通り英二と一緒に夕食をとっていたとき、普段とは違う着信音がシンの携帯から鳴り響いた。月龍だ。普段の着信音は携帯のデフォルトの音源、この着信音は、なんとかっていう音楽家の『月のなんとか』という曲だった。元は優美なピアノ楽曲だったが、これは安っぽい電子音でびりびりと耳元を震わせるのだ。もともと題名に惹かれてタップした音源だったが、想像していたよりもずっとチープな音質に親しみやすさを感じ、以来ずっと月龍専用にしている。
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