Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    min

    sirokuma594

    DONE200年物のメッセージボトルがようやく退治人の元に流れ着いた話
    #ドラロナワンドロワンライ一本勝負 (@DR_60min)よりお題「海」で書かせていただいたものです。
    純情inボトル、onペイパードラルクが初めて手紙を書いたのは、8歳の時の海辺でのことだった。

    流れる水の傍というのは、吸血鬼にとって昼と同じくらい恐ろしい。虚弱なドラルクであれば尚更だ。人間の子供であっても海の事故は多いという。当然、心配性の父母はドラルクを海になど連れていきたがらなかった。

    「おじいさま、あれはなんですか?」
    「手紙。瓶に入れてどこかの誰かが流したの」
    「てがみ! よんでみたいです」

    偉大かつ子供のような祖父の腕に抱かれ、ドラルクは海辺の綺麗な小瓶を指差した。夜の砂浜に動くものは二人の他になく、曇り空の果てから真っ黒な水が唸るように打ち寄せる音だけが聞こえていた。
    ドラルクは祖父に似て好奇心が旺盛だった。血族には内緒の二人きりの冒険にも当然付いていく。手紙入りの綺麗な小瓶も当然欲しがった。祖父はキラキラと期待に満ちた孫の顔を見て、裾が濡れるのも構わずにざぶざぶと波打ち際を歩いて行った。祖父の大きな手の中に収まった透明な丸い瓶を見て、ドラルクはさらに目を輝かせた。
    5312

    2152n

    DONEブラアキ。ワンライお題77回:鍵(@brak_60min )
    3年後研修チームが解散してから数ヶ月後の話。
    捏造配属設定ありです。
     時計を見れば、約束の時間は三十分も過ぎている。ブラッドは、ストリート・ベンダーを視界に捉えると、二ドルを渡して珈琲とベーグルを受け取った。足早に向かいながらベーグルを齧れば少し冷めていて、もったりとしたクリームチーズとパサついたトマトに眉を顰めたが、味わうための食事ではないと妥協し、珈琲で無理矢理流し込む。時間に追われながら摂る食事は久しぶりだった。懐かしい感覚に、そういえば先日までは同室者のプロテインバーを拝借していたのだったと思い出す。
     辿り着いたミリオンパークは早朝ともあって人気は少ない。朝陽の昇りきっていない空。雲のせいでぼやけた視界をブラッドは見回して、探している人物がいないことを確認すると肩を落とした。彼にとって、今日の時間は有限だ。何故、こんな日に限ってアラームが鳴らなかったのか。いや、悪いのは深夜まで仕事をしていた自分である。次に会った時、どう詫びを入れるか考えていると、突然視界が暗くなった。覚えのある手のひらの感触に、すぐ誰か理解して振り返る。反応が面白かったのか、赤い髪を揺らしながらアキラは笑った。
    3731