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    ティト

    ayanashi_k

    SPOILERカヴェアル新刊、「君色のプレゼント」にノベルティとして付けている小冊子(小説)の中身を期間限定で全文公開します。
    副題、カーヴェ先輩の前日譚。

    ※製本版とは収録方法の都合上、一部改行や空白の入れ方が異なりますが、文章の内容はそのままです。

    こちらの小説が付いてくる新刊の通販はこちら→https://ecs.toranoana.jp/joshi/ec/item/040031133762
    恋情オーバーフロー昔、アルハイゼンとまだ共同研究を進めていた頃のことだ。
    当時の僕は何度も彼に贈り物をしていた。
    カフェで売っていた新作の焼き菓子だとか、道端で見かけた綺麗な花だとか、本の栞だとか。それこそ思いつく限りありとあらゆるものを彼にプレゼントしたはずだ。
    恋人だった期間にはより顕著に、世話を焼きたいのもあって事あるごとに何かを渡した。
    あまりに頻度が高すぎて、当のアルハイゼンからは苦言を呈されることもあったくらいだ。
    そんな中でもとりわけ、強く記憶に残っている贈り物がある。
    あれはまだ付き合い始めたばかりの頃に何気なく贈った物で、当時、季節はちょうど秋から冬に変わり始める頃だった。
    僕の前では比較的表情を変えていたアルハイゼンが、ムッとした顔のままずっと静かで、話しかけても短い返事しか返ってこなくて、何か怒らせたかと焦ったのを覚えている。
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    あもり

    PAST24年3月17日春コミで出した、無配ペーパーの小話再録です。そのに。
    2のこちらは、ムーとティトスです。新刊準拠の話ですが読んでなくても「本編最終章終了後、ジュダルが行方不明になったので単独で白龍がレームへ訪問しにきた後の二人の会話劇」とさえわかってれば問題ないです。
    私の割と癖が強く出た話となりました。こっちはしっとり目です。ノットカップリング。
    受け継がれるもの 練白龍が去った後、次の面談先へと元気よく歩くティトス様とは裏腹に、色々と考えあぐねてしまう自分がいた。練白龍は割合、裏表がない青年だ。今回の訪問もどちらかと言えば公人としての彼ではなく、私人としての立場に近いのだろう。だからこそ、あそこまでさらけ出したともいえる。しかし、自身が腹の内を掻っ捌いたようなものだからと言って、それを、同じだけのことを相手に求めさせるのはあまりにもリスクが高すぎる。落ち着いたと思ったが全くそんなことはない。やはり練家の男だと、かつての紅炎を思い出す。
    「ムー」
     くるりとティトス様が振り返った。丸い瞳をこちらに向けてじっと見、そして俺の顔に手を伸ばそうとしていたためすぐに屈む。なんでしょう、と言えば少しだけ笑って口を開いた。
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