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    ガッカリ

    きたまお

    TRAININGクシェルが変容してしまった自分にがっかりする話。書き直しが必須。産んだときは周囲の娼婦仲間に助けてもらった。もともと仲のよかったピア、イーダ姉妹だけではなく、客の取り合いをやっていたビルギットまでもが助けてくれた。
    「あんた、客の子供を産むなんてほんとバカだよ」
     ビルギットは娼館の元締めのテオからもらってきたと、お湯の入ったたらいを持ってきた。陣痛でもうろうとしていたクシェルはまともに返事もできなかった。
    「ほら、あと一息だよ、オランピア」
    「頭が見えている。もう一回だけがんばるんだよ」
     ピアは出産したことがあるらしい。イーダが取り上げたそうだ。生まれた赤ん坊は息をしていなくて、二人で泣きながら墓にもっていったと聞いた。不吉な話、と思ったがピアとイーダには悪気はない。地下街では身ごもっても、出産までこぎつけることがまれなのだ。ピアは死産であっても、そのあと体調を崩すこともなく、商売に戻れることができたので幸運な部類に入る。
    「はい、いち、に、さん!」
     ピアのかけ声とともにクシェルは下腹に力を入れた。陣痛で感覚のなくなった腹だが、どうすればいいのかはわかった。
     暗い部屋の中に、みゃあ、と猫の鳴き声のようなものが響いた。ビルギットの安堵の声が被 2434