Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    ハイソ

    Szme_me

    MAIKINGやっぱ初期すきだな、って思いながら。世界線はいそぺの初恋と一緒かな……………ひとり静かに泣いている先生を見かけるいそ



    見つかったのがカールさんでよかった。彼なら騒ぎ立てることもしないだろうし、口外もしないだろう。…こう、気を遣って、というタイプでもない。気がする。まだあまり話したこともないのに失礼だとは思うけど……。周りから一歩引いた姿、寡黙で俯きがち。表情はマスクに覆われていて分かりづらいけど、変化は乏しい。
    だからって見られてしまったのは良くなかったわ。滅多に人も来ないからいい場所だったんだけど…。

    部屋に戻ろうと、薬品を片手に立ち上がる。
    ドアの横にある小さなテーブルに畳まれているハンカチ。来たときにはなかった。
    縫われているイニシャル。取り上げて、ほのかに香るのは薔薇。覚えのある人物はひとりだけ。
    要らなければ捨ててください、と添えられた走り書きのメモ。
    (─ああ、私って大馬鹿ね)
    声をかけるだけが優しさではない。寄り添うことが重要なわけでもない。彼は、彼なりに考えて、気を遣ってくれたのだ。
    今の私に声をかけるでもなく。無理に寄り添うこともなく。ただそっと、涙の跡を隠せるように、と。
    (やさしいひとね)
    ぽうっと、胸の内にほのかな暖かさが灯る。 980