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    ワクワク

    あもり

    PAST先日のたかやま先生ぴくちゃ~日向南ズが空港だったこと、自分が同人誌に書きおろし収録した日向南のふたりの話の舞台も空港で、おまけに「これからの始まりにワクワクするふたり」だったよなあと…。終わりに向けての書き下ろし絵が日向南の2人が空港だったこと、たまたまの巡りあわせですがぐっと来たので期間限定で再録します。当時お手に取っていただいた方、そして今から読む方もありがとうございました!
    ホームスタート、隣には 窓の下、鮮やかな夕日が静かに夜へ落ちていく。小さい窓に張り付いている幼馴染の肩越しにその光を見たとき、ああ僕らは故郷を出ていくんだと実感した。

    ***

     やっとのことで地元の空港のチェックインカウンターに辿り着いたのは、予定時間ぎりぎりのことだった。いざ出発するとなったらどこから聞きつけてきたのか、高校の同級生やら近所のお好み焼き屋のおばさんやらであっという間にわいわいと取り囲まれて、遠慮なく別れを惜しんでくれた。といっても本拠地は相変わらず日向南だというんだけど、みんな勘違いしてないかこれ。そのうち単位交換ではなくて転校したという話に切り替わってそう、というか後半そんな感じで近所のおじさんに言われた。ただもう説明する回数が多すぎたので最後の方の対応はもう拓斗にやや放り投げてしまった。
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    kurage_honmaru

    PASTRPFレッドドラゴン10周年記念祭にお邪魔した際のもの。楽しい企画をありがとうございました。素晴らしい作品と出会えて嬉しいです。

    わくわく天凌ランド勝利ルートが見たい!!生きて勝っていちゃこいてほしい!!
    という私欲だけで、細部は都合よい展開にして突っ走りました。諸々個人解釈。
    互いに唯一になった七殺天凌と婁震戒が大好きです。
    〈天凌〉へ これはある一振りの御伽話。

     むかし。遠い昔。黄金の竜が吼え猛り、天地を統べていた昔。かつてが記された書は焚かれ、騙られる伝承と成り果てた昔。
     成り損ないの紛い物が、赤き剣へと姿を変えた。それが旅路の始まりだった。
     長い長い旅の果て、彼女にその夜が訪れる。


    * * *


     そこは暗く冷え切った回廊だった。視界の薄暗さのみならず、回廊には生の気配というものが無い。
     立ち入った者の生体魔素へ干渉する生きた霧も城主が使役する猛々しい魔物も、四半日程前には満ちていたそれら総てが消え失せている。かすかな熱すらそこには窺えない。
     それもそのはずだ。もはやこの城に城主は居ない。竜と人が約した遠い昔に生まれ、〈喰らい姫〉に祀られ生き延びてきた〈契りの城〉は〈炎なりし赤の竜〉と共にその生を終えた。今はただ、終わりを待つ遺骸に過ぎない。わずかな松明が名残とばかりに弱々しく燻っている。
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