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    あもり

    @34182000

    二次創作小説置き場です。
    現在格納済み:fgo、遙か3、バディミ、スタオケ、水星の魔女、マギなど色々

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    あもり

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    先日のたかやま先生ぴくちゃ~日向南ズが空港だったこと、自分が同人誌に書きおろし収録した日向南のふたりの話の舞台も空港で、おまけに「これからの始まりにワクワクするふたり」だったよなあと…。終わりに向けての書き下ろし絵が日向南の2人が空港だったこと、たまたまの巡りあわせですがぐっと来たので期間限定で再録します。当時お手に取っていただいた方、そして今から読む方もありがとうございました!

    #スタオケ

    ホームスタート、隣には 窓の下、鮮やかな夕日が静かに夜へ落ちていく。小さい窓に張り付いている幼馴染の肩越しにその光を見たとき、ああ僕らは故郷を出ていくんだと実感した。

    ***

     やっとのことで地元の空港のチェックインカウンターに辿り着いたのは、予定時間ぎりぎりのことだった。いざ出発するとなったらどこから聞きつけてきたのか、高校の同級生やら近所のお好み焼き屋のおばさんやらであっという間にわいわいと取り囲まれて、遠慮なく別れを惜しんでくれた。といっても本拠地は相変わらず日向南だというんだけど、みんな勘違いしてないかこれ。そのうち単位交換ではなくて転校したという話に切り替わってそう、というか後半そんな感じで近所のおじさんに言われた。ただもう説明する回数が多すぎたので最後の方の対応はもう拓斗にやや放り投げてしまった。
     なのでその辺りのごたごたを一手に引き受けた分は、拓斗が空港についた瞬間、「テレビで見たやつ!」とはしゃいで大した荷物でもないのに乗せたがった空港の手荷物用カートを、何も言わずに黙って引いたことで俺の中でチャラにしてもらった。きっとあいつはそんな事、気にしてないかもしれないけど。俺のキャリーバックと拓斗の大きいボストンバックが無造作に投げ込まれ、振動で揺れるたびにガタガタとうるさい。人もまばらな夕方の地方空港はどこか物寂しい雰囲気で、さみしい、と思ったのは自分でも意外だった。
    「俺、空港ってはじめてきたかも!」
     チェックインカウンターで荷物を引き渡して身軽になった俺たちは、その辺にあった長椅子に座っていた。物珍し気に辺りを見回す幼馴染の目はキラキラと好奇心でいっぱいだ。
    「そうだっけ? 修学旅行で使わなかったか?」
    「えっあの暗黒の修学旅行を忘れたとか嘘だろ 蒼司忘れたのか、ひとつ前の先輩たちがホテルではしゃぎまくったとか暴れたとかで関西に行けなかったやつ! 俺、大阪でたこ焼き食べるの楽しみにしてたのにさあ」
     信じられないものを見たようにクワッと目を広げて驚かれたけれど、そう言われてみればそうだった。あれは中学の修学旅行だったか。
    「確かに、そうだな」
     ぼんやりとあまり考えずに答えてしまった俺の顔に、何か気付いた顔をして拓斗が一瞬でその顔をひっこめた。
    「でも今度は本場の中華街だろ! わくわくしてきちゃったな」
     しまったと思ったら次にはニッと笑って話題を切り替えた。俺もそれに内心ほっとしつつ会話を続ける。
    「俺たちそんなお小遣い貰ってないだろ」
    「ええ~有名なシュウマイくらいは食べれるんじゃない?」
    「拓斗、お前も俺もシュウマイだけでおさまると思うか?」
    「……無理かも」
     先ほど食べたお好み焼きの量をようやく思い出したらしい。あまりにもしょげていたので、思わずフォローの言葉が出る。
    「でも、いっぱい店があるなら学生向けの食べ放題の店もあるかもしれないし」
    「蒼司~!」
    「俺も憶測だからな⁉あとでスタオケのメンバーにも聞いてみるか」
    「楽しみ復活! なあ、ここ空港デッキがあるんだって! いってみようぜ」
    「え、」
    「早くはやく!」
     拓斗は俺の返事を待たずにぱっと歩き出した。

     デッキには展示用の航空機以外誰もいなかった。やけに存在感のある機体を横目に下を見れば名前の知らない車が、ヘッドライトをつけて荷物を積み下ろししている。積み込まれているのは乗客の荷物だろうか。薄暗い夕方の日差しの中ではよくわからなかった。
    「俺たち、ここから出ていくんだな」
     その声に顔を上げると隣にいる幼馴染は珍しい表情をしていた。声をかけようとして、ゴオッと後ろから風が全身を駆けて思わずその言葉を飲み込む。揺れる髪であっという間にその表情の変化は見えなくなった。視線を拓斗と同じにすれば、日の落ちかけた街が広がっている。
     いつもの街の街灯たちが、遠くでただの綺麗な光点と化している。どこにいても見えていた、あの遊園地の観覧車はもうどこにもない。時は進んでいく。どれだけ止まりたいと願っても、戻りたいと叫んでも、ただただ後悔の中で燻っていても。あの街が俺たちのすべてで、出会って、音楽で広がって、俺たちはそこからまだ見えない世界を、未来を無邪気に夢見ていた。
     そして、今はその街を少し遠くで見ている。
    「あの時の夢、一歩前進だ」
     溌溂とした明るい声にやっと自分の唇が動いた。
    「船じゃないのが惜しいけどな」
    「はは、でもこれから乗り込むんだから駆けつけるのは超特急でいこうよ。夢がそこまで来ているのにさ、蒼司は手段選んでいられる?」
    「……だな、」
    「え?」
    「待ってられないに決まってんだろ、拓斗」
    「だよな!」
     ポーンと場外アナウンスが鳴り響き、俺たちの乗る便の保安検査が始まったことを告げていた。
    「うっし、じゃあ行こうぜ蒼司。俺とお前と、スタオケのみんなで。世界に行こう」
    「……ああ」
     
     光る街を背中にして、僕らはゆっくりと歩き始めた。

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    Replies from the creator

    あもり

    DOODLE突然始まって突然終わる、シンドバットとユナンの幕間、ユナン視点。時間軸的には本編開始前のつもりです。シンドリアにふらっと遊びに来てはシンドバットのそばに居たいけどいられないことを痛感して離れる、みたいなめんどくさい猫ちゃんムーヴ的行動を何度かしてそうだなぁ〜と思いながら書きました。この2人もなかなか複雑でいいよね。
    不変「言った本人は覚えていない軽くて適当な言葉ほど、うっかり他人を救ってたり殺してたりするものさ」
     開放された窓から南国特有の生ぬるい風が流れてきて、適当に括った髪がそよぐ。僕に向き合うシンドバットの顔は無愛想のままだった。何もとって食いやしないのにと思っていると、
    「そっくりそのままお前に返してやる、ユナン」
    「……ふふふ、根に持つなぁ」
    「俺はお前と違って忘れっぽくないからな」
     わかりやすく捻くれて拗ねた事を言うものだから、思わず笑ってしまう。こんな分かりやすく、変なー警戒心と好奇心があいまぜになった顔。人間の表情筋ってこんな複雑に動くものなんだと感心する。
     それに、こんな人間的で複合的な表情はきっと自分以外にシンドバットは見せないだろう。八人将たちには甘えているからここまで警戒の色は混ざらないし、対外的には七海の覇王としての役どころと面の良さを存分に活かしている。かつて興行として舞台に立った経験も織り込んでいるはずだ。
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    あもり

    PAST24年3月17日春コミで出した、無配ペーパーの小話再録です。そのに。
    2のこちらは、ムーとティトスです。新刊準拠の話ですが読んでなくても「本編最終章終了後、ジュダルが行方不明になったので単独で白龍がレームへ訪問しにきた後の二人の会話劇」とさえわかってれば問題ないです。
    私の割と癖が強く出た話となりました。こっちはしっとり目です。ノットカップリング。
    受け継がれるもの 練白龍が去った後、次の面談先へと元気よく歩くティトス様とは裏腹に、色々と考えあぐねてしまう自分がいた。練白龍は割合、裏表がない青年だ。今回の訪問もどちらかと言えば公人としての彼ではなく、私人としての立場に近いのだろう。だからこそ、あそこまでさらけ出したともいえる。しかし、自身が腹の内を掻っ捌いたようなものだからと言って、それを、同じだけのことを相手に求めさせるのはあまりにもリスクが高すぎる。落ち着いたと思ったが全くそんなことはない。やはり練家の男だと、かつての紅炎を思い出す。
    「ムー」
     くるりとティトス様が振り返った。丸い瞳をこちらに向けてじっと見、そして俺の顔に手を伸ばそうとしていたためすぐに屈む。なんでしょう、と言えば少しだけ笑って口を開いた。
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