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    日陰

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    MEMO帝都の日陰
    毒にも薬にもならない警察と放蕩者の話
    ※賭博が実際どう扱われているかは私はよくしらないです。
    違法賭博を扱う店があるとの報せを聞き、加賀は同輩を伴いそこへ乗り込んだ。
    帝都の日陰、華やかな街並みの裏側にはこんな店などごまんとある。いちいちめくじらを立てていたらキリがない。さりとて、通報があれば見過ごせないのは公僕の定めだ。大方、大負けした客が腹いせに報せをよこしたのだろう。
    店主、客、とにかく加担したと言える者たちはその場で捕らえる。こうでもなきゃ生きていけない、心ない狗ども、罵倒を浴びせられたところで、動く心はなかった。
    摘発を終え、連行は同僚に任せる。後は証拠品を上げれば事は終わるだろう。
    まずは帳簿と、裏方に足を踏み入れようとした。その時だった。
    「ありゃぁ。何よ、開店準備中かい?」
    軽薄そうな男の声が店内に響いた。入り口の方を見やれば、朱色の生地に金蘭で鳥の翼の刺繍が施された派手な肩掛けをした男が立っていた。着流しもまた派手で、真っ黒な生地に鮮やかな桃色の牡丹の咲いた、女物でも通るような仕立てのものだ。
    そんな男は、戸に背中を預けてにやにやと秀麗な顔に笑みを浮かべている。
    「そう見えるなら、生憎だな」
    「ふふん、ま、店主がお巡りさんになったなんて話ァ、聞いてねェからなあ 1381

    a_la_do

    DONEGRATE×GREED×CHOCOLATE
    リュリュのはなし




    一日ひとつ、浮世の楽しみを形にしよう。

    心がきらめくような喜びを、
    遠く夢みた憧れを。

    小さき命の愛らしさを、
    垣根の下に咲いた日陰の花のいじらしさを。


    ──なあ、悪魔よ。
    我はまだ「人」のフリをして、最期まで足掻きたいのだよ。
    ──────────────────────────────────────────────
    GRATE×GREED×CHOCOLATE

    「やはり、一日ひとつが限界かの」
    生まれたばかりの小さな星型のチョコレートを手のひらに転がし、リュリュは深く溜息をついた。錬成に集中したせいか、頭の深部が銀色の靄でもかかったかのように、重く、鈍く、痛む。眉間に寄った皺を親指でぐいぐいと伸ばす。それから、その小さな体躯の隅々まで行き渡らせるかのように、ゆっくり、大きく息を吸い込んだ。

    リュリュには、かつて大魔術師と呼ばれた時代があった。

    この界隈でいう魔術師の強さとは、必ずしも物理的な破壊力や影響力を指さない。襲い掛かる敵を薙ぎ払ったり、巨大な建物を倒壊させたりすることができたとしても、それはただ、発動した術のおこした結果にすぎない。ここの……菩提樹の術者と呼ばれる連中は、どちらかといえばそれらを起こすプロセスの方に強く注目し、評価した。リュリュが得意とする術式は、感情、記憶、因果……そういった目に見えぬものの理を解き、変質させ、事象を引き起こす。そういう類のものだった。
    悪意を呪いに。願望を幻覚に。物質に思いを結びつけ、別のカタチに。
    柔軟かつ汎用性のきく術式、発動した事象の影響力、そ 4974