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    雨上がり

    mayu_og3

    DONE文字書きワードパレット(甘々編)
    17、カエル
    「仲直り」「雨上がり」「ソファー」
    「お前意外とロマンチストなんだな」
    そう言われたのはいつのことだったろう。
    枯葉が舞い始めた頃、パトロールの帰り道に、昔見た麦畑の話をした時だったか。
    それとも、朝日に照らされた雪を、初めてタワーから二人で眺めた冬の日だったろうか。

    「そうだ、初めてウィルにプレゼント渡した時だ」

    ベッドに横たわり、ガストは瞼を閉じて思い出す。
    ウィルの20歳の誕生日、望みの薄い片想いと知りながら、好きな人の特別な日を祝いたいと、意を決して贈り物を選んだ。
    ウィルと同じ20年の時を重ねたワインを差し出したガストの顔を驚いた様に見つめて、ウィルはボトルを受け取った。そして贈られたワインのラベルを眺めて、少し呆れた様に笑ってそう言ったのだ。

    今思えば、初めてのプレゼントにしてはキザ過ぎたと恥ずかしくなる。それでも、ウィルが受け取ってくれたことが嬉しくて、その日からしばらくガストのプレゼント攻撃が続いた。
    初めは困った様に受け取っていたウィルだったが、次第に柔らかい微笑みを返してくれる様になり、遂には、プレゼントに添えたガストの想いを受け止めてくれた。そっと握った指が温かったことを今でも覚えている。

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