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    ゾル

    とーい

    DONEワードパレッドからお題をお借りしました。
    初めてのキスでテゾル妄想
    キスは星の裏側 目を閉じて/今だけ/意味空気だけでなく、足元まで小さく震えているように感じる。
    万雷の拍手に気おされ、ふらり、と倒れかけた体。咄嗟に一歩引いた足でそれを支えたけれど、心もその動きに引きずられた。
    ――ふと、脳裏を初めて出会った日の光景が過った。
    路地裏から聞こえた、微かな歌声。
    喧嘩したのか、服は汚れて肌のあちこちも傷だらけの男が、空き瓶の入ったケースの間に座り込んでいた。ほんの少し怖かったけれど、それでも、耳に心地よく響く低い歌声をもっと聞きたいと、自然と手を叩いてた。
    あの日からずっと、ルフィはテゾーロの歌のファンだ。
    ただ、テゾーロの歌を聞く人々が多くなるにつれ、その歌声が遠ざかっていくような気がした。
    もっと聞かせてくれよ、と暗い路地裏から日の当たる場所に連れ出したのはルフィ自身。それなのに、シャンクスのバーで歌っていたテゾーロが事務所からスカウトを受けた時、はじめてのコンサート、全国ツアー……その歌声が、踊る姿が、TVやすれ違った人のスマホの中にいるのを目にする機会が多くなるにつれて、近くで声を聞くよりも歌声が聞こえる時間は増えたのに、嬉しさよりも寂しさを感じることの方が多くなった。
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