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    後藤

    いずみのかな

    DONEパトレイバー ごとしの 後藤隊長の名推理? 話 トルコ石原石は5月10日の誕生石、だそうです。
    トルコストーンのなぞ しのぶは、入り口で思わず立ち止まり、目を何度か瞬かせた。
     後藤が手にしているものが、余りにも場違いで、さらに言うなら――とても失礼な言い分だとは思うが――彼と釣り合いが取れていなかったからだ。
     頬杖をついて、空いた手でつまんでいるのは、小さな指輪だった。
     見るからに女性用に作られている指輪には、リングの大きさに比べるとやや大きい石が乗っている。その上品な青い石の名をしのぶは知っていた。ダイヤやルビーなどと比べて高級でも高くもない石だが、素朴でありながらきりりとした印象をもつその宝石のことは、どちらかといえば嫌いではない。もっとも、宝石類全体にあまり関心が高くないのだが。
     後藤は手にしたそれをただぼおっとしたまま眺めている。例えば大事そうにつまんで、見ながら自然とにやけているのなら、同僚にもついにそういう女性が出来たのかとも思うし、逆に持て余し気味に持って思案にくれているようなら、なにか訳ありのものを押し付けられたのかとも思う。しかし、元々何を考えているか解らない顔ではあるが、それでもああもぼおっとしたままでただ指輪を見ているものだから、しのぶは少し困惑したのである。
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    いずみのかな

    DONEパトレイバー。健全シリアス。一つの季節の終わりと、次の季節への眼差し。あるいは「友情というのは魂の結び付きである」。キン肉マン流に言い直すと「友情とは魂の結婚である」。
    後藤さんとしのぶさんの話ですが、ごとしのではありません。繰り返しますがごとしのではないので、ご注意ください。
    秋の気配、夏の終わり 入道雲が海の向こうからもこもこと沸いて来て、街を覆い尽くし雨をひとしきり降らせてから、一層の蒸し暑さを残して去っていく日々が続き、朝は蝉、夕方は雷でやかましかった夏も、気付けはもうその後姿を見せるようになっている。
     積乱雲の変わりに鱗雲やいわし雲が空を覆う日が少しずつ多くなり、吹き抜ける風は南から北に変わりつつある。ぎらぎらと輝きながら潮の香りをこれでもかと撒き散らしていた海も心なしか力無く見える、というのは単に見た人の心境の表れでしかないといえるが。
     隊長室の窓からは、草刈に精を出す隊員たちのにぎやかな話し声が聞こえてくる。ここ一週間は出動がかかることもなく、二課全体が落ち着いた雰囲気に包まれていた。牧歌的だねえ、と後藤は煙草をくわえながら思う。しのぶがいないことをいいことに、自席でのんびりと煙草の煙を吐き出しながらぼんやりと天井を見ていると、またうっすらとヤニに染まり始めた天井板が見えて、取り替えてまだ一年経っていないのに、と思わず苦笑してしまった。
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