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    なるみ

    SA515space2

    DONEなるみやさんの子と雨ままの子しか出てこないです狂ったような笑い声が響く。いや、「ような」ではない。とっくの昔に声の主は狂っていた。
    「釛、釛、俺の釛!!もっと来なよ、刀も弾も全部受け止めてあげるからさ!」
    斬り捨てられたはずの首も、鉛玉を撃ち込まれたはずの脳天も無傷。痛みも感覚も確実にあるはずなのに、仇嶋釛に与えられたというだけで悦に浸っている。その動きだけは、美しく舞うようで。彼を、絵羽嶋暁を仕留めようとする者たちを苛立たせる。
    「……化け物」
    捨て駒として雇われた名も無き青年の言葉は、雇い主だけに向けられたものではなかった。人間離れした動きについて行く、2人の男。憎悪に燃える赤色が重い一撃を放つ。自分以外を守ると決めた黄金が周囲を斬る。全てを狂わせた紫色を、始末するため。
    「殺してやるから、さっさと死ねよ!!」
    その赤髪に象徴されるような激情を滾らせ、乾楓は叫ぶ。過去の精算と、未来の礎のために。こいつだけは、絵羽嶋暁だけは絶対に殺すと誓っていた。そんな楓の猛攻を、暁は軽く躱していく。釛のもとへと行こうとするのだけは、どうにか阻止されていた。
    一方の釛は、襲いかかってくる見知らぬ男たちをひたすら斬り捨てていた。金につ 960

    yk_f02

    TRAINING虫歯になるミノアギ「虫歯になったかもしれねえ」
     昼飯を済ませて店を出たあと、口に違和感を覚えて思わず呟いたのが失敗だった。
    「痛むか?」
    隣の加納が覗き込んできたのを、あえて無視した。あえて、と言うより弱みに関心を持たれるのが癪だった。何でもないという顔で(実際はしくしくと鬱陶しく痛むが)歩き出そうとした。
    「私に任せろ」
     一歩踏み出した途端、隙だらけの胸ぐらを掴まれていた。加納の手が掴んだと頭が理解するより先に体が反射で反応した。何度も組み合ってきた相手の動きに対応して、腰だめで身構える、何をと訊く間もない。
    「食いしばれ、鷹山」
     冷静な加納の声に顎が力む、やはり何をと問う間はなかった。空を切る音と共に、ガードし損ねた下顎に凄まじい衝撃が走った。
     激痛と、構えきれていなかった足が浮く感覚に襲われる。
    「…アッ…ガ…ッ!…!?」
     加納の強烈なアッパーカットをもろに食らって、俺は路上にケツから転がった。忌まわしくも懐かしい、口から頬を切り裂かれた時のショックが一瞬フラッシュバックして、顔を押さえる。案の定、片頬の傷跡はわずかに開き、血が溢れていた。だが、すぐにそれだけじゃないと気づく。口の奥も出 662