Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    あかね

    百合菜

    PAST遙か1・頼あか。
    「名前で呼んで」

    出会ったばかりのあかねと頼久の話。
    「源頼久と申します」

    そう名乗りながらあかねの目の前に現れたのは、自分より頭ひとつ分違う身長に、鍛え上げられた体躯を持つ少し年上と思われる男性の姿だった。
    見慣れない装束、そして腰に差しているのは刀なのであろうか。
    これらを見ていると、やはり自分はどこか見知らぬ場所に連れてこられたという事実が現実のものとして迫ってくる。

    だけど、何が起こったのか、自分はどうすれば元の世界に帰ることができるのか、見当がつかなかった。
    リュウジンノミコとして召喚されたらしいが、普通の高校生である自分にそんな役割が任せられただなんて信じられない。
    この先、どうするべきか誰かに聞いておきたかった。

    「あの…… 源さん、でしたっけ?」

    武骨そうに見え、むしろ寡黙に見える。
    しかし、その瞳は嘘偽りがないということを信じることができる。
    初めて会ったのに、あかねはなぜか目の前の男性のことを信じることができた。
    すると、

    「み、神子殿……!」

    目の前の頼久と名乗る男性がうろたえているのが目に入る。

    「どうしたのですか? 源さん」

    そう、問いかけるあかねに対し、頼久は困ったように髪をかきあげる。

    「で 1575