つーさん
MOURNING卒業前に盛大に拗れるガプアガ、その6。年齢操作です。無駄に文字数増えそうで完成できるか怪しいので、書けた分だけ供養に投げます。タグでシリーズ管理してます。
無自覚ガープと自覚ありなので距離を取ろうとするアガレスという話です。
菫青石は砕けない6 ガープに喧嘩腰のように告白をして、別離を告げた翌日。アガレスはいつもより早い時間に家を出て、自分で学校に来ていた。
これには勿論、理由がある。
アガレスはガープを信用していない。彼が空気を読めないのはよく知っているのだ。筋金入りとも言って良い。なので、いつもの時間に家にいれば、当たり前みたいに迎えに来る可能性を考えたのだ。
そして、家に閉じこもるよりは、学校で級友達と共に居る方がマシだと判断した。家に押しかけられて、二人きりで顔を合わせるのは気まずすぎる。
正直なところ、心情をぶちまけた結果、アガレスの心的強度は下がっているのだ。この状況で、無自覚に色々とこちらの心臓を射抜いてくるようなガープの言葉を聞く余力はない。
4755これには勿論、理由がある。
アガレスはガープを信用していない。彼が空気を読めないのはよく知っているのだ。筋金入りとも言って良い。なので、いつもの時間に家にいれば、当たり前みたいに迎えに来る可能性を考えたのだ。
そして、家に閉じこもるよりは、学校で級友達と共に居る方がマシだと判断した。家に押しかけられて、二人きりで顔を合わせるのは気まずすぎる。
正直なところ、心情をぶちまけた結果、アガレスの心的強度は下がっているのだ。この状況で、無自覚に色々とこちらの心臓を射抜いてくるようなガープの言葉を聞く余力はない。
つーさん
MOURNING卒業前に盛大に拗れるガプアガ、その5。年齢操作です。無駄に文字数増えそうで完成できるか怪しいので、書けた分だけ供養に投げます。タグでシリーズ管理してます。
無自覚ガープと自覚ありなので距離を取ろうとするアガレスという話です。
菫青石は砕けない5 去って行くアガレスを、ガープは追わなかった。追うことが出来なかった。見たこともなかったアガレスの顔が、聞いたこともなかった声が、意識から離れてくれない。
あんな風に、絶望の全てを詰め込んだような笑顔を見たことはなかった。あんな風に、号泣していると思しき声を聞いたことはなかった。今にも泣きそうに潤んだ瞳の、縋るようでありながら怯える輝きを見たことなど、なかった。
何もかもが見知らぬもので、ただ一つガープの内側に残ったのは、アガレスが自分の元から去って行ったという事実だった。
好きだと言われた。それが、いわゆる恋愛感情であろうことは察することが出来た。そうでなければ、アガレスはあんな風に血を吐くように叫ばなかっただろう。特別の意味が違うという言葉も、それを裏付けていた。
2620あんな風に、絶望の全てを詰め込んだような笑顔を見たことはなかった。あんな風に、号泣していると思しき声を聞いたことはなかった。今にも泣きそうに潤んだ瞳の、縋るようでありながら怯える輝きを見たことなど、なかった。
何もかもが見知らぬもので、ただ一つガープの内側に残ったのは、アガレスが自分の元から去って行ったという事実だった。
好きだと言われた。それが、いわゆる恋愛感情であろうことは察することが出来た。そうでなければ、アガレスはあんな風に血を吐くように叫ばなかっただろう。特別の意味が違うという言葉も、それを裏付けていた。
つーさん
MOURNING卒業前に盛大に拗れるガプアガ、その4。年齢操作です。無駄に文字数増えそうで完成できるか怪しいので、書けた分だけ供養に投げます。タグでシリーズ管理してます。
無自覚ガープと自覚ありなので距離を取ろうとするアガレスという話です。
菫青石は砕けない4 限界は、思っていたよりも早く訪れた。
自分が思っている以上に追い詰められていたのだと、アガレスは気づいていなかったのだ。隠すのは得意で、気づかせないのも得意だったから、大丈夫だと思いこんでいただけだった。
アガレスが巧妙に距離を取ろうとしても、ガープは目敏く気づいて駆け寄ってきた。それまで繋がっていた手をアガレスがするりと外したとして、離れきる前に当たり前みたいな顔で掴んでくるのだ。しかも当人に自覚がない。
そんなことが、幾度も、幾度も繰り返された。少しずつ距離を取ろうと考えていたアガレスは、相棒の思わぬ察しの良さに妨害され続けている。その上、ガープは無邪気に笑いながらアガレスの心臓を射抜き続けているのだ。何も考えていないくせに。
4062自分が思っている以上に追い詰められていたのだと、アガレスは気づいていなかったのだ。隠すのは得意で、気づかせないのも得意だったから、大丈夫だと思いこんでいただけだった。
アガレスが巧妙に距離を取ろうとしても、ガープは目敏く気づいて駆け寄ってきた。それまで繋がっていた手をアガレスがするりと外したとして、離れきる前に当たり前みたいな顔で掴んでくるのだ。しかも当人に自覚がない。
そんなことが、幾度も、幾度も繰り返された。少しずつ距離を取ろうと考えていたアガレスは、相棒の思わぬ察しの良さに妨害され続けている。その上、ガープは無邪気に笑いながらアガレスの心臓を射抜き続けているのだ。何も考えていないくせに。
つーさん
MOURNING卒業前に盛大に拗れるガプアガ、その3。年齢操作です。無駄に文字数増えそうで完成できるか怪しいので、書けた分だけ供養に投げます。タグでシリーズ管理してます。
無自覚ガープと自覚ありなので距離を取ろうとするアガレスという話です。
菫青石は砕けない3「……何で」
「ん?何がでござるか?」
「何でここにいるんだよ、お前」
眉間に指を押し当てて皺を伸ばしながら、アガレスは面倒くさそうに問いかけた。ここはアガレスの実家で、当たり前みたいな顔をして玄関前にいるのは、ガープだ。アガレスの問いかけに、きょとんとしている。
見慣れた、見慣れすぎた、どこまでも他人との間合いが分かっていない剣士の、ポンコツな姿である。
「アガレス殿に会いたくなったでござる!」
「……明日学校で会うだろうが」
「そうでござるが、明日は学校に行っても別行動でござるし、今日は家にいると聞いたので」
「俺は、休みの日は家でのんびりしたいの。知ってるだろう」
「そうでござるが……」
「何だよ」
別に何も間違っていない主張をするアガレスに、ガープはしょんぼりと肩を落とした。少しずつ、少しずつガープとの距離を取ろうと努めているアガレスにとって、休みの日に押しかけられるのは困る案件だった。気持ちが揺らぐ。
3412「ん?何がでござるか?」
「何でここにいるんだよ、お前」
眉間に指を押し当てて皺を伸ばしながら、アガレスは面倒くさそうに問いかけた。ここはアガレスの実家で、当たり前みたいな顔をして玄関前にいるのは、ガープだ。アガレスの問いかけに、きょとんとしている。
見慣れた、見慣れすぎた、どこまでも他人との間合いが分かっていない剣士の、ポンコツな姿である。
「アガレス殿に会いたくなったでござる!」
「……明日学校で会うだろうが」
「そうでござるが、明日は学校に行っても別行動でござるし、今日は家にいると聞いたので」
「俺は、休みの日は家でのんびりしたいの。知ってるだろう」
「そうでござるが……」
「何だよ」
別に何も間違っていない主張をするアガレスに、ガープはしょんぼりと肩を落とした。少しずつ、少しずつガープとの距離を取ろうと努めているアガレスにとって、休みの日に押しかけられるのは困る案件だった。気持ちが揺らぐ。
つーさん
MOURNING卒業前に盛大に拗れるガプアガ、その2。年齢操作です。無駄に文字数増えそうで完成できるか怪しいので、書けた分だけ供養に投げます。タグでシリーズ管理してます。
無自覚ガープと自覚ありなので距離を取ろうとするアガレスという話です。
菫青石は砕けない2 翌日から、アガレスは少しずつ自分達の距離を調整することを心がけた。気付かれないように少しずつ、お仲間としての距離を調整するのだ。
ただ、突然大幅に距離を取るとガープに気付かれる可能性があったので、行動は本当に些細なところからだった。だから、朝迎えに来るガープにはいつも通りに挨拶するし、いつも通りに彼が作ったおむすびを食べるし、いつも通りにガープに運ばれる。
パジャマから制服に着替えさせるのも手慣れたガープが、聞いてもいないのに昨日は何があったのかを話しているのを耳にしながら、アガレスは寝る。学校に着くまでの間、着いてからも寝る。それはいつものことだったから、誰も何も言わなかった。
けれどそれは、距離を取るための一つの手段だった。
3149ただ、突然大幅に距離を取るとガープに気付かれる可能性があったので、行動は本当に些細なところからだった。だから、朝迎えに来るガープにはいつも通りに挨拶するし、いつも通りに彼が作ったおむすびを食べるし、いつも通りにガープに運ばれる。
パジャマから制服に着替えさせるのも手慣れたガープが、聞いてもいないのに昨日は何があったのかを話しているのを耳にしながら、アガレスは寝る。学校に着くまでの間、着いてからも寝る。それはいつものことだったから、誰も何も言わなかった。
けれどそれは、距離を取るための一つの手段だった。
つーさん
MOURNING卒業前に盛大に拗れるガプアガ、その1。年齢操作です。無駄に文字数増えそうで完成できるか怪しいので、書けた分だけ供養に投げます。タグでシリーズ管理してます。
無自覚ガープと自覚ありなので距離を取ろうとするアガレスという話です。
菫青石は砕けない1 悪魔学校バビルスに通って早6年。卒業を間近に感じるようになった最高学年の生活は、下級生の頃とはガラリと様変わりしている。
基礎やそれぞれに合わせた能力の伸ばし方を学ぶ下級生を経て、上級生は実習が中心となってくる。学校へ顔を出すこともあるが、四年生以上は社会に出て学ぶことが多いので、必然的に学び舎にいるのは下級生が中心だ。
その中でも例外と言われるのが、問題児クラス達だった。基本的には彼らも社会で実習を行っているのだが、他の上級生達に比べれば比較的学校に顔を出すことが多い。彼らは『王の教室』を拠点としており、そこでたむろするのが心地好いのもあるのだろう。
そんなわけで、他の同級生達に比べれば彼らは、最上級生になった今も学校で仲間達と交流を重ねているという奇妙なクラスでもあった。
3053基礎やそれぞれに合わせた能力の伸ばし方を学ぶ下級生を経て、上級生は実習が中心となってくる。学校へ顔を出すこともあるが、四年生以上は社会に出て学ぶことが多いので、必然的に学び舎にいるのは下級生が中心だ。
その中でも例外と言われるのが、問題児クラス達だった。基本的には彼らも社会で実習を行っているのだが、他の上級生達に比べれば比較的学校に顔を出すことが多い。彼らは『王の教室』を拠点としており、そこでたむろするのが心地好いのもあるのだろう。
そんなわけで、他の同級生達に比べれば彼らは、最上級生になった今も学校で仲間達と交流を重ねているという奇妙なクラスでもあった。