菫青石は砕けない2 翌日から、アガレスは少しずつ自分達の距離を調整することを心がけた。気付かれないように少しずつ、お仲間としての距離を調整するのだ。
ただ、突然大幅に距離を取るとガープに気付かれる可能性があったので、行動は本当に些細なところからだった。だから、朝迎えに来るガープにはいつも通りに挨拶するし、いつも通りに彼が作ったおむすびを食べるし、いつも通りにガープに運ばれる。
パジャマから制服に着替えさせるのも手慣れたガープが、聞いてもいないのに昨日は何があったのかを話しているのを耳にしながら、アガレスは寝る。学校に着くまでの間、着いてからも寝る。それはいつものことだったから、誰も何も言わなかった。
けれどそれは、距離を取るための一つの手段だった。
3149