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DONE新婚旅行モブ霊ふたりとも大人です。どこまででも行ける。
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https://maguro.keikyu.co.jp/
Make hay while the sun shines「何事も思い立ったが吉日って言うだろ」
「僕はそういうのちゃんと決めたくて。その、初めてだから」
渡された縦長のパンフレットを握り締めて立ち上がる茂夫に、霊幻は大袈裟だなと溜息を吐いた。
「俺も初めてだし。気持ちが新婚だったらいつでも新婚旅行だよ」
「……師匠がこんなこと言うはずがない。でもおかしいな、悪霊の気配を感じない」
「失礼だなお前は。この先一つか二つこんなこと言うこともあるだろ」
「いつまで新婚気分でいるつもりなんだアンタは」
売り言葉に買い言葉だったのかもしれないが、臆面もなく言い放つ霊幻に茂夫は赤面した。部屋に気まずい沈黙が落ちる。ずっと新婚でも良いだろ、と照れ隠しのような捨て台詞を吐いて霊幻は寝室の扉を開けた。
3672「僕はそういうのちゃんと決めたくて。その、初めてだから」
渡された縦長のパンフレットを握り締めて立ち上がる茂夫に、霊幻は大袈裟だなと溜息を吐いた。
「俺も初めてだし。気持ちが新婚だったらいつでも新婚旅行だよ」
「……師匠がこんなこと言うはずがない。でもおかしいな、悪霊の気配を感じない」
「失礼だなお前は。この先一つか二つこんなこと言うこともあるだろ」
「いつまで新婚気分でいるつもりなんだアンタは」
売り言葉に買い言葉だったのかもしれないが、臆面もなく言い放つ霊幻に茂夫は赤面した。部屋に気まずい沈黙が落ちる。ずっと新婚でも良いだろ、と照れ隠しのような捨て台詞を吐いて霊幻は寝室の扉を開けた。
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DONEJMR!2のモブ霊新婚アンソロの小話です※モブ霊(25×39)
きっと、一緒だからだ「見て下さい、師匠。一面の……」
いわゆる、オーシャンビューと呼ばれるホテルをとった。
部屋にいながら海を見渡せるところが人気で、綺麗な景色を一望出来るらしい。浴場には露天風呂も備わっており、そこでもまた、広い景色を楽しむことが出来るのだと。
ただ、
「一面の――大雨」
それもすべて晴れていたら、の話だが。
霊幻と共に、ささやかな式を挙げた。
本当に小さな式だった。互いの両親と兄弟に、エクボと芹沢とトメ、あとはショウとテルだけ。ほんの少人数で挙げた式は、それでも、おめでとうの言葉で包まれて幸せいっぱいだった。
式の手配は、ほとんど霊幻がまとめてくれた。
モブだって勿論手伝いたかったのだけれど、丁度その頃は、仕事の繁忙期が重なってしまったのだ。連日遅くに帰宅をして、気力の糸が切れた途端にベッドへと倒れ込む毎日。休日出勤なんかも重なっては上手く物事も考えられなくて、どうにも疲労困憊だった。とはいえそんなのは言い訳に過ぎないと謝り、だけれどちっとも、霊幻は怒っていなかったことを覚えている。
3584いわゆる、オーシャンビューと呼ばれるホテルをとった。
部屋にいながら海を見渡せるところが人気で、綺麗な景色を一望出来るらしい。浴場には露天風呂も備わっており、そこでもまた、広い景色を楽しむことが出来るのだと。
ただ、
「一面の――大雨」
それもすべて晴れていたら、の話だが。
霊幻と共に、ささやかな式を挙げた。
本当に小さな式だった。互いの両親と兄弟に、エクボと芹沢とトメ、あとはショウとテルだけ。ほんの少人数で挙げた式は、それでも、おめでとうの言葉で包まれて幸せいっぱいだった。
式の手配は、ほとんど霊幻がまとめてくれた。
モブだって勿論手伝いたかったのだけれど、丁度その頃は、仕事の繁忙期が重なってしまったのだ。連日遅くに帰宅をして、気力の糸が切れた途端にベッドへと倒れ込む毎日。休日出勤なんかも重なっては上手く物事も考えられなくて、どうにも疲労困憊だった。とはいえそんなのは言い訳に過ぎないと謝り、だけれどちっとも、霊幻は怒っていなかったことを覚えている。
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MENU2/5開催 モブ霊webオンリーあ11
パスワードヒント⬇︎
モブと師匠の誕生日
モブ霊のネップリです。
2枚目に番号が書いてあります。
ローソンです。
有効期限: 2022/02/20 23時頃 2
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DONE朝ごはんを食べるモブくんと師匠(1428→2135)冬の朝のほっと一息
モブくんは昔も今も健気
2021/11/13 シテイシティ開催おめでとうございます!
いつかあなたをつくるもの「ん……」
眩しい朝日に目を覚ますと、コーヒーの香りがした。まだ布団から出たくなくて、起きるか二度寝するかもぞもぞと葛藤をしていると、起きたかと師匠から声がかかった。見つかってしまうと起きなくてはいけない気持ちになる。
「いいよ、寝てて」
「起きます」
「そ? コーヒー淹れたけど飲む?」
「いただきます……あ、師匠!」
「ん、どした」
「おはようございます」
「おはよ、モブ」
振り返った師匠はこれまで見たことがない顔をしていた。苦笑しているような、照れくさそうな、そして少し嬉しそうな顔で笑った。
ベッドから体を起こした僕の肩に冷えるからとブランケットをかけて、師匠は台所に向かった。
「牛乳入れるだろ?」
「お願いします」
3213眩しい朝日に目を覚ますと、コーヒーの香りがした。まだ布団から出たくなくて、起きるか二度寝するかもぞもぞと葛藤をしていると、起きたかと師匠から声がかかった。見つかってしまうと起きなくてはいけない気持ちになる。
「いいよ、寝てて」
「起きます」
「そ? コーヒー淹れたけど飲む?」
「いただきます……あ、師匠!」
「ん、どした」
「おはようございます」
「おはよ、モブ」
振り返った師匠はこれまで見たことがない顔をしていた。苦笑しているような、照れくさそうな、そして少し嬉しそうな顔で笑った。
ベッドから体を起こした僕の肩に冷えるからとブランケットをかけて、師匠は台所に向かった。
「牛乳入れるだろ?」
「お願いします」
humi0312
MOURNINGこれはできたら本にしたい……。まだ子どものモブくんと、師匠からモブくんを好きになる話。
恋をするのは楽しいな霊幻新隆は開き直った。土壇場で面倒くさくなるタイプだが、面倒くさくなったのではなく、受け入れる方向の覚悟を決めたということだ。
そう覚悟だった。
受け入れると決めたのは他でもない、弟子に対する諸々の感情についてだった。
11歳で霊幻の前に現れた男の子は、いまや16歳の少年になっていた。ランドセルと半ズボンからのぞくまあるい膝小僧が可愛かったのが、大きめで誂えた学ランがぴったりと袖も余らなくなって、気づけば優しい黒目はそのままに目つきも顔の輪郭もややシャープな男前になりつつあった。
素直で純で人を疑うことを知らない。心底救いようのない相手にも理解を示そうと努力する。自分の気持ちを伝えることを諦めない。そういう弟子だった。
2651そう覚悟だった。
受け入れると決めたのは他でもない、弟子に対する諸々の感情についてだった。
11歳で霊幻の前に現れた男の子は、いまや16歳の少年になっていた。ランドセルと半ズボンからのぞくまあるい膝小僧が可愛かったのが、大きめで誂えた学ランがぴったりと袖も余らなくなって、気づけば優しい黒目はそのままに目つきも顔の輪郭もややシャープな男前になりつつあった。
素直で純で人を疑うことを知らない。心底救いようのない相手にも理解を示そうと努力する。自分の気持ちを伝えることを諦めない。そういう弟子だった。
humi0312
DONE1427で、かわいいものを抱っこしないとだめな呪いにかかった師匠の話。*書き上がりました!
モブ霊タグをつけていますが、師弟みが強いです。
孤独なホワイティ以前で、エクボがいる時期の相談所。
かわいいもの「師匠? 師匠、聞こえますか? ……どうなってるの」
「どうもこうも……」
ぼんやりとした意識の中に声が聞こえる。眠っていたのか、何やら妙に思考が鈍くて働かない。
「憑かれちまったみたいなんだがなあ……。何するでもなくこの通りだんまりでよ」
「いったい何でまた」
「わからん。依頼人は水子かもしれんと言ってたんだが……、それにしちゃあガキの気配じゃないんだよ」
「依頼の方はどうしたの」
「こいつに憑いちまったからか、あっちは霊障も治まったみたいでな。な〜んも感じなかったぞ」
「そう……。どうしよっか……」
お手上げ状態といった調子の声ともう一つの声が何か話しているのだが、いまいち内容が頭に入ってこない。状況が掴めないと言わんばかりの声の方は少し苛立った気配を見せていて、厄介事になる前にどうにかしようと顔を上げる。寝ていたからか、ずっと下を向いてたが、見慣れた床から慣れ親しんだ事務所にいるんだと分かった。
5604「どうもこうも……」
ぼんやりとした意識の中に声が聞こえる。眠っていたのか、何やら妙に思考が鈍くて働かない。
「憑かれちまったみたいなんだがなあ……。何するでもなくこの通りだんまりでよ」
「いったい何でまた」
「わからん。依頼人は水子かもしれんと言ってたんだが……、それにしちゃあガキの気配じゃないんだよ」
「依頼の方はどうしたの」
「こいつに憑いちまったからか、あっちは霊障も治まったみたいでな。な〜んも感じなかったぞ」
「そう……。どうしよっか……」
お手上げ状態といった調子の声ともう一つの声が何か話しているのだが、いまいち内容が頭に入ってこない。状況が掴めないと言わんばかりの声の方は少し苛立った気配を見せていて、厄介事になる前にどうにかしようと顔を上げる。寝ていたからか、ずっと下を向いてたが、見慣れた床から慣れ親しんだ事務所にいるんだと分かった。