unhkiss
DONEまほたちが休暇で出払い、独りぼっちな賢者のお話。すくう人 後半「うう……せっかくの食事が美味しくない……」
目にも鮮やかな海鮮パスタを口に運びながら、晶はさめざめと泣いた。実際には泣いていないが、泣きたい気持ちなのは本当だ。
みんなに嘘をついてしまった罪悪感と、嘘をついてまで自分を守ろうとしている情けなさで、胸がずきずきと痛んでいる。
クロエと別れてルチルに絵本を返すのを諦めたあと、晶は自室にこもった。ベッドに横になって、ぼんやり天井を見上げている内にいつの間にか眠ってしまった。
ふと気が付くと外はすっかり暗くなっていて、夕食の時間になっていた。
お腹は空いているけれど、食堂に行って魔法使いたちと顔を合わせるのは気が進まない。
晶がどうしようかなあ、と悩んでいると、誰かが控えめにドアを叩く音が聞こえてきた。
17920目にも鮮やかな海鮮パスタを口に運びながら、晶はさめざめと泣いた。実際には泣いていないが、泣きたい気持ちなのは本当だ。
みんなに嘘をついてしまった罪悪感と、嘘をついてまで自分を守ろうとしている情けなさで、胸がずきずきと痛んでいる。
クロエと別れてルチルに絵本を返すのを諦めたあと、晶は自室にこもった。ベッドに横になって、ぼんやり天井を見上げている内にいつの間にか眠ってしまった。
ふと気が付くと外はすっかり暗くなっていて、夕食の時間になっていた。
お腹は空いているけれど、食堂に行って魔法使いたちと顔を合わせるのは気が進まない。
晶がどうしようかなあ、と悩んでいると、誰かが控えめにドアを叩く音が聞こえてきた。
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DONEあの世界でGWみたいなものがあり、まほたちに休暇を出す賢者のお話。すくう人 前半魔法舎で晶に割り当てられている部屋はふたつある。
プライベートな時間を確保するための寝室と、書類などを整理するための執務室。このふたつだ。
執務室は応接室も兼ねていて、魔法使いか賢者に何らかの用事があって訊ねてきた客人をもてなすために使われることもある。
最近は異変の調査・報告、魔物の討伐依頼も少なく、晶は今日もせっせと執務室で書類仕事に励んでいた。
クックロビンに文章の翻訳を手伝ってもらいながら、書類の山を今日決裁するべきものと、そうでないものとに選り分けていく。
「あ、来月の食費の請求書が来てますね……。そっか、もう月末だから……あとでネロに渡しに行かないと……」
「僕でよければお預かりしますよ。ネロさんにお渡しするついでに、今月分の余りも回収してしまいますね」
15692プライベートな時間を確保するための寝室と、書類などを整理するための執務室。このふたつだ。
執務室は応接室も兼ねていて、魔法使いか賢者に何らかの用事があって訊ねてきた客人をもてなすために使われることもある。
最近は異変の調査・報告、魔物の討伐依頼も少なく、晶は今日もせっせと執務室で書類仕事に励んでいた。
クックロビンに文章の翻訳を手伝ってもらいながら、書類の山を今日決裁するべきものと、そうでないものとに選り分けていく。
「あ、来月の食費の請求書が来てますね……。そっか、もう月末だから……あとでネロに渡しに行かないと……」
「僕でよければお預かりしますよ。ネロさんにお渡しするついでに、今月分の余りも回収してしまいますね」
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DONE天空の宴イベストを拡大解釈または捏造したネロ晶♂I want early morning teaイベスト「天空の宴に春を招いて」読了推奨。
精霊たちと夢のようなひと時を過ごし、ヘレナとヘレナの両親にお別れを言って、晶と魔法使いたちは魔法舎に帰ってきた。
「さーて、と。誰かに荒らされてねえか心配だからキッチン見に行きたいんだけど、もう行っていいんだよな?」
労働を終えたばかりだというのに、ネロはもう次の仕事に取り掛かるつもりらしい。ちょっとくらい休んでもいいのに。と晶は思うのだけれど、ネロが自ら望んでキッチンに立つというのであれば、反対はできない。
「はい、大丈夫ですよ。今回は本当にありがとうございました」
「無理はなさらないでくださいね」
「何かお手伝いできることがあったら、言ってください!」
晶にできるのはネロの意思を尊重して、彼の背中を見送ることだけだ。晶が礼を述べたあとに、ルチルとミチルがネロに温かな声をかける。
12490精霊たちと夢のようなひと時を過ごし、ヘレナとヘレナの両親にお別れを言って、晶と魔法使いたちは魔法舎に帰ってきた。
「さーて、と。誰かに荒らされてねえか心配だからキッチン見に行きたいんだけど、もう行っていいんだよな?」
労働を終えたばかりだというのに、ネロはもう次の仕事に取り掛かるつもりらしい。ちょっとくらい休んでもいいのに。と晶は思うのだけれど、ネロが自ら望んでキッチンに立つというのであれば、反対はできない。
「はい、大丈夫ですよ。今回は本当にありがとうございました」
「無理はなさらないでくださいね」
「何かお手伝いできることがあったら、言ってください!」
晶にできるのはネロの意思を尊重して、彼の背中を見送ることだけだ。晶が礼を述べたあとに、ルチルとミチルがネロに温かな声をかける。
unhkiss
DONE文字の練習のため献立表を作る賢者とリケ献立表を作ろう!週末。太陽が中天を過ぎ、陽光が黄みを帯び始めた頃。夕食の仕込みを始めたネロのもとに来客が訪れた。
「ネロ! ネロ! あなたにお願いがあります」
「一週間分の食事のメニューを俺たちに教えてください」
軽やかな足音を立ててキッチンにやって来たのは晶とリケだった。二人ともきらんきらんに目を輝かせ、鼻息を荒くしている。片手には羊皮紙を持ち、片手にはインクに濡れた羽根ペンを持っている晶とリケにネロはつと眉根を寄せた。
ネロの表情の変化にいち早く気付いた晶が「あ」と声をあげる。
「あの、大丈夫ですよ。このインクは魔法でできていて、芯の部分に付着しているんです。ほら!」
床に落ちたりしないでしょう! 羽根ペンをぶんぶん振り回しながら晶が得意げな顏をする。その幼子みたいなあどけない仕草にネロはほだされて、「そんならいいよ」とまなじりをゆるめた。
2337「ネロ! ネロ! あなたにお願いがあります」
「一週間分の食事のメニューを俺たちに教えてください」
軽やかな足音を立ててキッチンにやって来たのは晶とリケだった。二人ともきらんきらんに目を輝かせ、鼻息を荒くしている。片手には羊皮紙を持ち、片手にはインクに濡れた羽根ペンを持っている晶とリケにネロはつと眉根を寄せた。
ネロの表情の変化にいち早く気付いた晶が「あ」と声をあげる。
「あの、大丈夫ですよ。このインクは魔法でできていて、芯の部分に付着しているんです。ほら!」
床に落ちたりしないでしょう! 羽根ペンをぶんぶん振り回しながら晶が得意げな顏をする。その幼子みたいなあどけない仕草にネロはほだされて、「そんならいいよ」とまなじりをゆるめた。
柚月@ydk452
DONEネロ晶♂無意識にネロの手料理を全問正解する晶くん
覚えた味「つい、作りすぎちまったな。」
「でも楽しかったです!さすがはネロさんですね。」
キッチンの方から、楽しげな笑い声が聞こえてくる。思わず足を向けると、ネロとカナリアが大量の料理をテーブルに並べながら、談笑していた。
「こんにちは。こんなにたくさんの料理、どうしたんですか?」
「お、賢者さん。仕事は終わったか?」
「いえ、これから提出に向かう所でした。美味しそうな匂いがしたから、つい来てしまって。」
「ふふ、小腹が空いていたなら、ちょうど良いです!賢者様、是非味見してください。」
「最近、各国集まっての会議やらパーティーが多いだろ?まぁ、なんつーか、刺激を受けたと言うか…。」
「私もお手伝いする事が多くなってきたので、各国それぞれの伝統料理や郷土料理を深めたいなとお話していたんです。」
2328「でも楽しかったです!さすがはネロさんですね。」
キッチンの方から、楽しげな笑い声が聞こえてくる。思わず足を向けると、ネロとカナリアが大量の料理をテーブルに並べながら、談笑していた。
「こんにちは。こんなにたくさんの料理、どうしたんですか?」
「お、賢者さん。仕事は終わったか?」
「いえ、これから提出に向かう所でした。美味しそうな匂いがしたから、つい来てしまって。」
「ふふ、小腹が空いていたなら、ちょうど良いです!賢者様、是非味見してください。」
「最近、各国集まっての会議やらパーティーが多いだろ?まぁ、なんつーか、刺激を受けたと言うか…。」
「私もお手伝いする事が多くなってきたので、各国それぞれの伝統料理や郷土料理を深めたいなとお話していたんです。」
はるのぶ
DONEネロ晶♂ ルチル視点でルチルと晶のみの会話ニア エンドロール「ルチル、教えてほしいことがあるんですけど」
そう賢者様が言ったのは、ちょうどお昼も過ぎて午後の授業が終わったあと。ゆっくり1人で木陰で本を読んでいるとき。
この世界のことのことを賢者様はよく知りたがった。自分の元いた世界に持ち帰ることは出来なことを知っているのに、この世界に少しでも馴染ませるようにと。それは願いにも似たものだった。
私たちと同じ世界で生きていたいという願い。
「はい、なんでも」
「手紙を書こうと思ったんです。それで、俺がわからない文字とか間違いがあれば教えてほしくて」
私が快く許したことに安心した顔で、隣へ座る。
「それはいいですね、誰かに出すんですか?」
手紙とは、誰かに渡すものだ。そうして心をどこかに置いておく。
1647そう賢者様が言ったのは、ちょうどお昼も過ぎて午後の授業が終わったあと。ゆっくり1人で木陰で本を読んでいるとき。
この世界のことのことを賢者様はよく知りたがった。自分の元いた世界に持ち帰ることは出来なことを知っているのに、この世界に少しでも馴染ませるようにと。それは願いにも似たものだった。
私たちと同じ世界で生きていたいという願い。
「はい、なんでも」
「手紙を書こうと思ったんです。それで、俺がわからない文字とか間違いがあれば教えてほしくて」
私が快く許したことに安心した顔で、隣へ座る。
「それはいいですね、誰かに出すんですか?」
手紙とは、誰かに渡すものだ。そうして心をどこかに置いておく。