sasaha_irm6
DONEバビデビ!パーリィナイトif人間界2開催おめでとうございます!新しいの完成しました!七夕のさとあすです。
誤字脱字等あれば、waveboxなどでお知らせいただけるとありがたいです。
七夕の願いごと 梅雨明けを待つ関東は、朝から日差しが強く蒸すような天気だった。太陽の光を反射して道路のアスファルトもじりじりと温度を上げている。午後はどれだけ暑くなるのか。
「今日、七月七日は七夕です」
佐藤と明日ノ宮が朝食をとっていると、テレビからそんな声が聞こえてきた。締切に追われていた二人は、そういえば、という顔でテレビを眺める。
「七夕といえばそうめんですが、由来には諸説あり……」
「ひとつめは、中国の言い伝えで」
アナウンサーの説明を先取りするように、箸をおいた明日ノ宮がつらつらと、それこそ竹筒にそうめんを流すように話をする。佐藤も食事の手を止め、明日ノ宮の話に耳を傾けた。
「と、いうことだ」
「勉強になります。じゃあ、今日のお昼はそうめんにしましょうか。家にはお昼を食べてから帰る、って連絡しておきます」
2608「今日、七月七日は七夕です」
佐藤と明日ノ宮が朝食をとっていると、テレビからそんな声が聞こえてきた。締切に追われていた二人は、そういえば、という顔でテレビを眺める。
「七夕といえばそうめんですが、由来には諸説あり……」
「ひとつめは、中国の言い伝えで」
アナウンサーの説明を先取りするように、箸をおいた明日ノ宮がつらつらと、それこそ竹筒にそうめんを流すように話をする。佐藤も食事の手を止め、明日ノ宮の話に耳を傾けた。
「と、いうことだ」
「勉強になります。じゃあ、今日のお昼はそうめんにしましょうか。家にはお昼を食べてから帰る、って連絡しておきます」
16natuki_mirm
DOODLEお題で短編。【さとあす】桜吹雪の下の恋人 春である。
満開の桜の下、都心の憩いの場たる公園では、ブルーシートを並べた上にビールケースの机を並べた古式ゆかしい花見が行われている。それはもう、あっちでもこっちでも。
そのあっちこっちの一角では、バビル出版の面々も飲めや歌えのどんちゃん騒ぎを繰り広げている。
発案者の社長は、あれやこれやの差し入れを持ってきて、乾杯の合図だけすると秘書を連れてスマートに去った。あとは編集者達と、招かれた作家たちが無礼講。
――そんな宴会の空気が、排水口の掃除の次くらいには嫌いな有栖がなぜノコノコと顔を出しに来たかと言えば、他でも無い、入間に誘われたからである。
しかし当の入間はといえば、他にも数人抱えているらしい担当作家やら編集長やらの相手に忙しく、なかなか有栖の横に座ってくれない。
2521満開の桜の下、都心の憩いの場たる公園では、ブルーシートを並べた上にビールケースの机を並べた古式ゆかしい花見が行われている。それはもう、あっちでもこっちでも。
そのあっちこっちの一角では、バビル出版の面々も飲めや歌えのどんちゃん騒ぎを繰り広げている。
発案者の社長は、あれやこれやの差し入れを持ってきて、乾杯の合図だけすると秘書を連れてスマートに去った。あとは編集者達と、招かれた作家たちが無礼講。
――そんな宴会の空気が、排水口の掃除の次くらいには嫌いな有栖がなぜノコノコと顔を出しに来たかと言えば、他でも無い、入間に誘われたからである。
しかし当の入間はといえば、他にも数人抱えているらしい担当作家やら編集長やらの相手に忙しく、なかなか有栖の横に座ってくれない。
16natuki_mirm
DONE8/27の悪学で無配にしたもの。うぶうぶなさとあすが遊園地デートするお話。「Paradise on sea!」の、佐藤くん視点のサイドストーリーです。
Paradise~の裏話的なお話なので、どちらから読んでも大丈夫なようにはなっていますが、Paradise~から読んで頂く想定で書いています。
きみのいろをさがす デートである。
やっとこぎ着けた、念願の、紛れもないデートである。
編集者と作家としてだけの関係でしか無かった入間と有栖が、プライベートでも食事に行くようになったのはしばらく前のことだ。それから、仕事の取引相手と行くには随分とムードのある飲食店で、酒を交えた食事を重ねているのだから、これはもうほぼ、付き合っていると言っていい筈だ。
明確に言葉にしたわけでは無いけれど、中高生ではあるまいし、社会人になってわざわざ「付き合ってください!」もないだろう――と、「編集者」と呼ばれる人種の中で過ごしている入間は考えている。
はじめこそ、売れっ子作家と新人編集者という立場上、有栖のことは、ちょっと怖い、なんて思っていた入間だったが、あっという間にその、キツい言葉の裏に隠れた――もとい、全く隠し切れていない――本心とか、ふとした瞬間に見せる幼さの残る笑顔とか、仕事に妥協をしない姿勢とか、それから、ちょっとだけ、美味しいものをたくさん食べさせてくれるところとか、に夢中になった。夕方頃に校正用の試し刷りを持って行ったときなんか、分かりやすくそわそわと何かを期待するように落ち着かないそぶりを見せて、仕事が片付いた後食事に誘えば嬉しそうに承諾してくれる――口先では、仕方ないから付き合ってやる、なんて言うけれど、本心と裏腹のことを言うとき、必ず話し始めの一言を言い淀む、本人は気付いていないらしい癖に、入間はちゃんと気付いている――ところなんか、たまらなく可愛い。
4998やっとこぎ着けた、念願の、紛れもないデートである。
編集者と作家としてだけの関係でしか無かった入間と有栖が、プライベートでも食事に行くようになったのはしばらく前のことだ。それから、仕事の取引相手と行くには随分とムードのある飲食店で、酒を交えた食事を重ねているのだから、これはもうほぼ、付き合っていると言っていい筈だ。
明確に言葉にしたわけでは無いけれど、中高生ではあるまいし、社会人になってわざわざ「付き合ってください!」もないだろう――と、「編集者」と呼ばれる人種の中で過ごしている入間は考えている。
はじめこそ、売れっ子作家と新人編集者という立場上、有栖のことは、ちょっと怖い、なんて思っていた入間だったが、あっという間にその、キツい言葉の裏に隠れた――もとい、全く隠し切れていない――本心とか、ふとした瞬間に見せる幼さの残る笑顔とか、仕事に妥協をしない姿勢とか、それから、ちょっとだけ、美味しいものをたくさん食べさせてくれるところとか、に夢中になった。夕方頃に校正用の試し刷りを持って行ったときなんか、分かりやすくそわそわと何かを期待するように落ち着かないそぶりを見せて、仕事が片付いた後食事に誘えば嬉しそうに承諾してくれる――口先では、仕方ないから付き合ってやる、なんて言うけれど、本心と裏腹のことを言うとき、必ず話し始めの一言を言い淀む、本人は気付いていないらしい癖に、入間はちゃんと気付いている――ところなんか、たまらなく可愛い。
16natuki_mirm
DONEさとうくんとあすのみや先生が、某遊園地併設の水族館レジャーランドでデートをするお話、BBQ編。【イルアズ/さとあす】キミは天然 空は晴天。絶好のデート日和である。
「先生!」
待ち合わせ場所に指定されていた駅の改札を出ると、改札の外で待ち構えていたらしい入間が手を振りながら有栖の方へと駆けてきた。
入間は、白いTシャツの上にネイビーのシャツを羽織り、リゾート感のある綿麻の、ライトベージュのパンツを膝下あたりまで軽くロールアップしている。そんな垢抜けた――実年齢の割にはやや子どもっぽい着こなしにも見えるが、童顔故かよく似合っている――格好をしているところを見るのは初めてだったものだから、アリスは不覚にもどきりとした。
今日はあくまでも、取材ではなく完全なオフのつもりだということが、その服装からも伝わってくる。
「……すまない、待たせたか」
6558「先生!」
待ち合わせ場所に指定されていた駅の改札を出ると、改札の外で待ち構えていたらしい入間が手を振りながら有栖の方へと駆けてきた。
入間は、白いTシャツの上にネイビーのシャツを羽織り、リゾート感のある綿麻の、ライトベージュのパンツを膝下あたりまで軽くロールアップしている。そんな垢抜けた――実年齢の割にはやや子どもっぽい着こなしにも見えるが、童顔故かよく似合っている――格好をしているところを見るのは初めてだったものだから、アリスは不覚にもどきりとした。
今日はあくまでも、取材ではなく完全なオフのつもりだということが、その服装からも伝わってくる。
「……すまない、待たせたか」
16natuki_mirm
DONE4月のさとあすオンリーで展示していた短編です。これにデート編を加えた本はこちら → https://pictspace.net/items/detail/407883
【さとあす】策士、策に溺れ【人間界IFイルアズ】 ピンポン、とチャイムが鳴る。予定の時間より三分程早い。
視界の端で、昨日買ってきておいた茶菓子が予定通り、たまたまそこに置いただけに見える位置に収まっており、彼のお気に入りの茶葉が机の上に無造作に出してあり、来客用のティーカップは食器棚ほいつもの場所にきちんと並んでいることを急ぎ確認しながら、インターフォンに応対するためにリビングの反対側の壁へと駆け寄る。その拍子に、ゴミ箱に足を引っかけてひっくり返す。中身は始末済みだったのは不幸中の幸い、慌ただしく起こしてやりながら、片手を伸ばしてインターフォンの応対ボタンを押す。それからやっと体制を整えて、咳払いを一つしてから、大きく息を吸って――「はい」と、精一杯冷静ぶった声で来客へと声を掛けた。
7178視界の端で、昨日買ってきておいた茶菓子が予定通り、たまたまそこに置いただけに見える位置に収まっており、彼のお気に入りの茶葉が机の上に無造作に出してあり、来客用のティーカップは食器棚ほいつもの場所にきちんと並んでいることを急ぎ確認しながら、インターフォンに応対するためにリビングの反対側の壁へと駆け寄る。その拍子に、ゴミ箱に足を引っかけてひっくり返す。中身は始末済みだったのは不幸中の幸い、慌ただしく起こしてやりながら、片手を伸ばしてインターフォンの応対ボタンを押す。それからやっと体制を整えて、咳払いを一つしてから、大きく息を吸って――「はい」と、精一杯冷静ぶった声で来客へと声を掛けた。