sketchips
PROGRESSえっち…ではないかも どきどきときめきアベレティだよダイヤモンドの一途② アベラルドのわがまま、を叶えるチャンスが巡ってきたのは、それから数日後のことだった。
たまたま公務のキャンセルが重なって、ぽっかりと予定の空いた午後。レティシアはベルグホルム邸に招かれた。
ある程度の年齢になって以降、王城のアベラルドの控室も含めて、レティシアは彼の私的なエリアには立ち入らせてもらえなくなっていたから、正直驚いた。それも応接室や客間ではなく——アベラルドの私室のソファに、レティシアは座っている。
初めて入ると言って差し支えないその部屋の中をあちこち見てまわりたい気持ちを懸命にしまって、レティシアは使用人が淹れる紅茶をアベラルドの向かいで待つ。
(何を言われるのかしら……)
内密な話をするなら、ここより相応しい場所はいくらでもある。わざわざレティシアを私室に招き入れる必要のある『わがまま』ということなのだろうが、それを想像すると、直視してはいけない部分が疼いて、レティシアは自分で自分に困ってしまう。
4902たまたま公務のキャンセルが重なって、ぽっかりと予定の空いた午後。レティシアはベルグホルム邸に招かれた。
ある程度の年齢になって以降、王城のアベラルドの控室も含めて、レティシアは彼の私的なエリアには立ち入らせてもらえなくなっていたから、正直驚いた。それも応接室や客間ではなく——アベラルドの私室のソファに、レティシアは座っている。
初めて入ると言って差し支えないその部屋の中をあちこち見てまわりたい気持ちを懸命にしまって、レティシアは使用人が淹れる紅茶をアベラルドの向かいで待つ。
(何を言われるのかしら……)
内密な話をするなら、ここより相応しい場所はいくらでもある。わざわざレティシアを私室に招き入れる必要のある『わがまま』ということなのだろうが、それを想像すると、直視してはいけない部分が疼いて、レティシアは自分で自分に困ってしまう。
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PROGRESS8/25発行予定のアベレティ本ダイヤモンドの一途冒頭です 全文はR18になりますのでご注意ください。えっちなの好きな人は次回お楽しみに。ダイヤモンドの一途①「じゃあ、私と結婚してくれる?」
「——えっ⁉︎」
環(わ)をえがく。
いくつもいくつも、正面から、横から、斜め上から、それぞれの方向から見た環を描く。
とっておきの白い紙に描いたそれらには、少しずつ違った意匠が施されている。
「どんな方たちなのかしら……」
ペンを走らせる手をふと止めて、レティシアは呟いた。
「指環……ですか? 私に?」
「はい」
視察及び監察の名目で、レイモンド程の頻度ではないが、マリエルも定期的にアスター四号星に訪れている。技術力の進展、国々の均衡といった星の様子をきちんきちんと調査して——この星の仲間との時間も、同じだけきちんと確保していた。
旅から帰ってきてからこちら、立場と仕事の両面の理由で、城からあまり離れられずにいるレティシアにとって、友の訪いは何よりの楽しみだった。
7291「——えっ⁉︎」
環(わ)をえがく。
いくつもいくつも、正面から、横から、斜め上から、それぞれの方向から見た環を描く。
とっておきの白い紙に描いたそれらには、少しずつ違った意匠が施されている。
「どんな方たちなのかしら……」
ペンを走らせる手をふと止めて、レティシアは呟いた。
「指環……ですか? 私に?」
「はい」
視察及び監察の名目で、レイモンド程の頻度ではないが、マリエルも定期的にアスター四号星に訪れている。技術力の進展、国々の均衡といった星の様子をきちんきちんと調査して——この星の仲間との時間も、同じだけきちんと確保していた。
旅から帰ってきてからこちら、立場と仕事の両面の理由で、城からあまり離れられずにいるレティシアにとって、友の訪いは何よりの楽しみだった。
kpwr1823
DONE8/25 COMIC CITY VEGA 2024 内の CROSSING SPHERES VG 2024 で発行予定のSO6アベレティR18小説本の全年齢部分サンプルその①以外あらすじ
戦後処理で各地に駆り出されていたアベラルドはレティシアから突然ラーカスに連れ出されるが、束の間のふたりで過ごす時間はあっという間に終わってしまう。
アベラルドが姫の隣にいることを見つめ直す話。
おとぎ話をあなたに サンプル①月蝕と残り香
仕事に励む人々の活気ある声や奏でる工具の音を掻き消さんばかりの不安を孕む老若男女の声が、あちこちで飛び交っている。
大陸西部をほぼ横断した流星の目撃者は、当初想像していたよりも遥かに多かった。国内政治の影響か、流星は不吉の象徴だと捉える声も多い。
ここディベルも例外ではなかった。街の門をくぐってすぐの広場は、陽が真上に上がるよりも前にライタールへ出発したときと変わらず、流星の噂で持ち切りだった。
三歩先を歩いていたニーナが頭の上で手を組みながら、まだ門の近くにいるアベラルドとレティシアを振り返る。
「これからどうします? 腕……施療院に行くなら、私も一緒に行きましょうか?」
18983仕事に励む人々の活気ある声や奏でる工具の音を掻き消さんばかりの不安を孕む老若男女の声が、あちこちで飛び交っている。
大陸西部をほぼ横断した流星の目撃者は、当初想像していたよりも遥かに多かった。国内政治の影響か、流星は不吉の象徴だと捉える声も多い。
ここディベルも例外ではなかった。街の門をくぐってすぐの広場は、陽が真上に上がるよりも前にライタールへ出発したときと変わらず、流星の噂で持ち切りだった。
三歩先を歩いていたニーナが頭の上で手を組みながら、まだ門の近くにいるアベラルドとレティシアを振り返る。
「これからどうします? 腕……施療院に行くなら、私も一緒に行きましょうか?」