ガ ネ
DOODLE虎日と篤寛どちらも未満。大人達が話しているだけの小話です。空欄・特記事項無し俺が日車寛見について知っている事……天才、T大法学部卒、弁護士、少食、酒はそこそこ強い、生真面目、無表情、三白眼、仏頂面、笑顔が怖い…けど意識せずにふっと落としたみたいに笑うと意外と可愛い。あと虎杖の事が大事らしい。
死滅海游の最中に伏黒姉を救う為に点のやり取りをしたとかで虎杖は随分と日車に感謝していたし、日車は日車で「彼のおかげで初心に還れた」と言っていた。勝手に術師にさせられてバケモノだらけのあのデスゲームに放り込まれ、そして勝ち抜いて生き残った天才。それは俺には解らない次元の話であったし、そもそも一度会っただけの人間に協力した挙句に命まで懸けれるなんてお人好しにも程があるだろうと思った。
それはそれとして、俺から見た日車の第一印象は『陰気な奴』だった。スーツにネクタイをキッチリと着込んだ顔色の悪い男。宿儺と闘うに当たって協力してくれるのは有り難かったが、つい先日まで一般人で呪術界のルールや呪霊のあれこれも覚えたての奴を最前線に送り込む作戦はいくら本人からの進言だとしても正直非道だと思った。そこまで人に惜しみなく協力してくれるからには人当たりがいいのかと思いきや、日車は鍛錬の時間以外は1人でポツンといる事が多く、唯一の旧知である虎杖に対してもどこかよそよそしく目線を外して会話をしていた。人と対話をするのが主な職に就いていた割には孤立しがちで、皆が集まっている飯時の食堂でもよく1人隅の方に座ってもそもそと飯を食っていた。非道な作戦に利用する手前、できるだけ日車に情は移したくなかったし、皆仲良くしましょうと綺麗事を言って面倒見よくするのも性に合わない。だから、あの時あいつに声を掛けたのは本当に気まぐれだったと思う。
5523死滅海游の最中に伏黒姉を救う為に点のやり取りをしたとかで虎杖は随分と日車に感謝していたし、日車は日車で「彼のおかげで初心に還れた」と言っていた。勝手に術師にさせられてバケモノだらけのあのデスゲームに放り込まれ、そして勝ち抜いて生き残った天才。それは俺には解らない次元の話であったし、そもそも一度会っただけの人間に協力した挙句に命まで懸けれるなんてお人好しにも程があるだろうと思った。
それはそれとして、俺から見た日車の第一印象は『陰気な奴』だった。スーツにネクタイをキッチリと着込んだ顔色の悪い男。宿儺と闘うに当たって協力してくれるのは有り難かったが、つい先日まで一般人で呪術界のルールや呪霊のあれこれも覚えたての奴を最前線に送り込む作戦はいくら本人からの進言だとしても正直非道だと思った。そこまで人に惜しみなく協力してくれるからには人当たりがいいのかと思いきや、日車は鍛錬の時間以外は1人でポツンといる事が多く、唯一の旧知である虎杖に対してもどこかよそよそしく目線を外して会話をしていた。人と対話をするのが主な職に就いていた割には孤立しがちで、皆が集まっている飯時の食堂でもよく1人隅の方に座ってもそもそと飯を食っていた。非道な作戦に利用する手前、できるだけ日車に情は移したくなかったし、皆仲良くしましょうと綺麗事を言って面倒見よくするのも性に合わない。だから、あの時あいつに声を掛けたのは本当に気まぐれだったと思う。
ガ ネ
DOODLE虎日で篤寛の虎篤寛の3人暮らし小話。前作の『キャンディゲーム』の続きですが単体で読んでもらっても大丈夫かと思います。
ファンファーレ週末の夜。日下部先生、日車、俺の順番で3人ソファーに並んでテレビを見ている。昔の名作映画再配信だとかで、日車も日下部先生も前に観た事があるらしい。俺は初めてなので、ネタバレ禁止ね!と伝えてわくわくしながらポテチとポップコーンを用意する。更には映画鑑賞には絶対コーラっしょと家で一番デカいグラスにたっぷり注ぐ。日車と先生はビールで一応俺にも飲むかと勧めてくれたけど、正直まだあんまり酒の味がわからんくて苦いので丁重にお断りした。
途中で日車が席を立つ。
「どしたん?一旦止める?」
「酒を取ってくる。君は初めて観るんだろ、気にせず通しで楽しんでくれ」
「俺も酒ほしい」
「いつものでいいか?」
「おうサンキュー」
日車は2人分の空き缶を持って台所に消えていく。日下部先生の『いつもの』とは焼酎の水割りで、日車のはウイスキーのソーダ割り。2人が留守の時にそんなにおいしいのかなとちょっと味見してみたけど、度数が強くてブワッとなってしまってめちゃくちゃ薄めてなんとか飲み干した。甘くなくてひたすらドライで正にオトナの嗜み。俺はまだチューハイでいいやと思った。それは日本酒の時にも思った。先生が釣りに行くと、その日の午後は大体俺と日車でスーパーへお買い物デート。夕飯は先生の釣果が主菜だから、それに合う食材や酒を買いに行く。和食が多いから酒は日本酒を買う。「飲みやすいやつなら君もいけるんじゃないか?」と酒屋さんで一緒に選んだけど、いざ飲んでみると全然マリアージュ的な事はわからなかった。
9717途中で日車が席を立つ。
「どしたん?一旦止める?」
「酒を取ってくる。君は初めて観るんだろ、気にせず通しで楽しんでくれ」
「俺も酒ほしい」
「いつものでいいか?」
「おうサンキュー」
日車は2人分の空き缶を持って台所に消えていく。日下部先生の『いつもの』とは焼酎の水割りで、日車のはウイスキーのソーダ割り。2人が留守の時にそんなにおいしいのかなとちょっと味見してみたけど、度数が強くてブワッとなってしまってめちゃくちゃ薄めてなんとか飲み干した。甘くなくてひたすらドライで正にオトナの嗜み。俺はまだチューハイでいいやと思った。それは日本酒の時にも思った。先生が釣りに行くと、その日の午後は大体俺と日車でスーパーへお買い物デート。夕飯は先生の釣果が主菜だから、それに合う食材や酒を買いに行く。和食が多いから酒は日本酒を買う。「飲みやすいやつなら君もいけるんじゃないか?」と酒屋さんで一緒に選んだけど、いざ飲んでみると全然マリアージュ的な事はわからなかった。
broccoliiii
DONE日車さん出頭後高専戻りif小説です。最終話までの内容を含みます。未読の方はご注意ください。
虎日っぽくなるまでのシーンまでが長いのでお時間のある時にお読みください。
本文内に描写のある法律に関してはネットの海で探しただけですので軽くスルーして頂けると幸いです。
すけべは無いですが戦闘や負傷描写、災害被害やシ体の描写等がありますのでご注意ください。
pass:15歳↑?(yes/no) 18390
ガ ネ
DOODLE虎日の虎が日に告白してフラれた話。未来予測図俺が思い切って日車に告白して「子供だからだめ」だとバッサリとフラレてしばらく経つ。めっちゃ凹んだしやらかした気持ちもあったけど、さすがにだいぶ落ち着いたと思う。今日は授業も終わって任務もなく校舎を歩いていると、書庫を整理している日車と日下部先生を見つけた。ジャケットとネクタイは壁に寄せられた椅子の背に掛けられて、袖も捲られている。首元のボタンもゆるめてあって、いつもキッチリしている日車にしてはめずらしいラフな格好だ。
「日車!日下部先生!」
声を掛けて駆け寄る。
「なんか片付け?手伝おっか?」
「ああ、書類の整理をしていたんだ。前任者が出したものを適当に戻すから分類がバラバラになっていてな」
「あちゃー…でも俺もそういうのやっちゃう側かも」
4218「日車!日下部先生!」
声を掛けて駆け寄る。
「なんか片付け?手伝おっか?」
「ああ、書類の整理をしていたんだ。前任者が出したものを適当に戻すから分類がバラバラになっていてな」
「あちゃー…でも俺もそういうのやっちゃう側かも」
suzuro
DONE虎日。虎君と別れた後の🌻のお話。箱庭のペトリコール 鈍色の空から雨粒が細い針のように降り注ぐ。コロニーにも雨は降るのだなと疲れ切った体をビル壁に寄りかからせながら天を仰ぐ。陽が昇り夜が来るのだから至極当然の事なのだが。
この天候時に付き物の埃っぽい独特のアスファルト臭が立ちのぼる。雨の匂いはどこか懐かしく嫌いではない。だが晩秋の肌寒さは体温を徐々に奪っていく。着衣で風呂に浸かってみた時は我ながら馬鹿な事をしたと後悔した。あの日。虎杖悠仁と相見えた時だ。
こちらを見据える瞳が眩いと思った。一回目の裁判ではしれっと虚偽を述べていた癖に大量殺人の疑いには躊躇いなく罪を認めたあの少年。
無罪にも関わらず自分自身の弱さを理由に償いの道を選ぶ、たった十五歳の子供の姿に俺はいたく恥じ入った。本来ならば虎杖に請われるまま行動を共にして助けるべきだったのだろう。だが俺は逃げた。己の弱さ情け無さをこれ以上彼に晒す事に耐えられなかった。
3586この天候時に付き物の埃っぽい独特のアスファルト臭が立ちのぼる。雨の匂いはどこか懐かしく嫌いではない。だが晩秋の肌寒さは体温を徐々に奪っていく。着衣で風呂に浸かってみた時は我ながら馬鹿な事をしたと後悔した。あの日。虎杖悠仁と相見えた時だ。
こちらを見据える瞳が眩いと思った。一回目の裁判ではしれっと虚偽を述べていた癖に大量殺人の疑いには躊躇いなく罪を認めたあの少年。
無罪にも関わらず自分自身の弱さを理由に償いの道を選ぶ、たった十五歳の子供の姿に俺はいたく恥じ入った。本来ならば虎杖に請われるまま行動を共にして助けるべきだったのだろう。だが俺は逃げた。己の弱さ情け無さをこれ以上彼に晒す事に耐えられなかった。