serisawa
DONE10月ワンライ「停電」より。降志。+7分くらい。めちゃくちゃわたし好みのお題ですが、わたしが提案したわけではないよ…!笑
降志ワンライ「停電」 私と彼の始まりは、笑ってしまうくらい陳腐な出来事だった。
きっかけは、残業帰り。十一階のフロアから帰路に着くために乗り込んだエレベーターには、既に先客が居た。それが、彼。降谷だった。
君も遅いな、お疲れ。あなたもね、ちゃんと寝てるの?そんな取り留めもなく花も咲かない話を一言二言交わしている内に、あっという間に狭い鉄製の箱は目的階である一階へと辿り着く。が、そのまま何の前触れもなく、ふっと電気が消えた。
「えっ」
声を上げたのは、私だけだった。
暗闇の中、彼はスマホのライトを照らして非常用ボタンを押す。
ジリリリ、とホールに響き渡る警報音からやや遅れて、オペレーターと通話が繋がった。
発電所内での火災により、都内の一部で停電が発生しており、その影響を受けているのだという。
2134きっかけは、残業帰り。十一階のフロアから帰路に着くために乗り込んだエレベーターには、既に先客が居た。それが、彼。降谷だった。
君も遅いな、お疲れ。あなたもね、ちゃんと寝てるの?そんな取り留めもなく花も咲かない話を一言二言交わしている内に、あっという間に狭い鉄製の箱は目的階である一階へと辿り着く。が、そのまま何の前触れもなく、ふっと電気が消えた。
「えっ」
声を上げたのは、私だけだった。
暗闇の中、彼はスマホのライトを照らして非常用ボタンを押す。
ジリリリ、とホールに響き渡る警報音からやや遅れて、オペレーターと通話が繋がった。
発電所内での火災により、都内の一部で停電が発生しており、その影響を受けているのだという。
vi_mikiko
DOODLE10月のふるしほワンドロワンライ参加作品です。お題:ハロウィン、スーパーマーケット、低気圧、停電
お題:ハロウィン、スーパーマーケット、低気圧、停電 童話の世界で生きられればどんなにいいか、と思う。組織の追っ手から無事免れ、めでたしめでたしと終わる平穏な世界。無事オオカミから逃げることができた、赤ずきんのように。
ただ、現実はそう上手くいかないのだ。
これから始まるのは、オオカミに捕まった、赤ずきんの話。
ずきずき、ずきずき。鈍痛が、頭の中を駆け巡る。ずっと、頭上に重いものがのしかかっているような、頭蓋骨に締め付けられているような、そんな痛み。
ハロウィン当日。パーティもそこそこに、渋谷で事件解決に尽力した探偵団は、後日、ハロウィンパーティの仕切り直しをしたいと言い出した。
そして十一月も半ばに差し掛かった今日、赤ずきんの仮装に身を包んだ灰原哀は、博士の家で子供達とお菓子を広げていた。
1942ただ、現実はそう上手くいかないのだ。
これから始まるのは、オオカミに捕まった、赤ずきんの話。
ずきずき、ずきずき。鈍痛が、頭の中を駆け巡る。ずっと、頭上に重いものがのしかかっているような、頭蓋骨に締め付けられているような、そんな痛み。
ハロウィン当日。パーティもそこそこに、渋谷で事件解決に尽力した探偵団は、後日、ハロウィンパーティの仕切り直しをしたいと言い出した。
そして十一月も半ばに差し掛かった今日、赤ずきんの仮装に身を包んだ灰原哀は、博士の家で子供達とお菓子を広げていた。
vi_mikiko
DOODLE降志ワンドロワンライ9月お題「お月見、茫然自失、残暑、ダイヤモンド」です!「月を見ていると、狂うよ」
男に声を掛けられたのは、十五夜の日だった。
一年で最も美しい、中秋の名月。私は満月に誘われるように、家を出て光の示す先を辿った。とある、ススキがたなびく草原に辿り着く。残暑の空気を感じながら足を進めると、草木の中心に位置するぽっかりと穴が開いたような空間に、石台が一つ鎮座していた。
その正体が月時計だと教えてくれたのは、いつの間にか隣に立っていた男だった。
日中は日時計として時を刻むこの盤面は、夜にはたちまち月時計となる。
中央に、指針が鎮座する。その陰が示す方向で、時刻が示される。
いつの間にか私はその月時計に通うのが習慣となっていて。決まって、男も側に立っていた。
「あなたは月が似合うわね」
1653男に声を掛けられたのは、十五夜の日だった。
一年で最も美しい、中秋の名月。私は満月に誘われるように、家を出て光の示す先を辿った。とある、ススキがたなびく草原に辿り着く。残暑の空気を感じながら足を進めると、草木の中心に位置するぽっかりと穴が開いたような空間に、石台が一つ鎮座していた。
その正体が月時計だと教えてくれたのは、いつの間にか隣に立っていた男だった。
日中は日時計として時を刻むこの盤面は、夜にはたちまち月時計となる。
中央に、指針が鎮座する。その陰が示す方向で、時刻が示される。
いつの間にか私はその月時計に通うのが習慣となっていて。決まって、男も側に立っていた。
「あなたは月が似合うわね」
serisawa
DONE9月ワンライお題「残暑」より。キッチンシリーズの二人の番外イメージで書いてますが、
単発同棲ふるしほでも問題ないと思います。
降志ワンライ;「残暑」 ジリジリ。ギリギリギリ。ギギギギギギ、と。
風情ある――というには、かなり耳障りな鳴き声が、ひっきりなしに響き渡るリビングで、志保はひとりだらんと腕を投げ出し、大の字で寝そべっていた。
九月初旬。未だ残暑の厳しいこの季節。日中ともなればエアコンにはまだまだフル稼働で仕事をしてもらわねばならないのに、いきなりブツンという音と供に一切の反応を見せなくなって、五時間あまり。窓は当然のように全開にしているが、気密性の高いマンションの一室は、殆ど蒸し風呂状態だ。
人間にすら毒となるであろうこの環境は小型犬であるハロには猛毒になる。
予約がいっぱいなので訪問は明日になる、という修理業者からの平謝りの連絡が入ったと同時に、阿笠の元へ彼を預けてきて、志保自身は一時帰宅した。
1583風情ある――というには、かなり耳障りな鳴き声が、ひっきりなしに響き渡るリビングで、志保はひとりだらんと腕を投げ出し、大の字で寝そべっていた。
九月初旬。未だ残暑の厳しいこの季節。日中ともなればエアコンにはまだまだフル稼働で仕事をしてもらわねばならないのに、いきなりブツンという音と供に一切の反応を見せなくなって、五時間あまり。窓は当然のように全開にしているが、気密性の高いマンションの一室は、殆ど蒸し風呂状態だ。
人間にすら毒となるであろうこの環境は小型犬であるハロには猛毒になる。
予約がいっぱいなので訪問は明日になる、という修理業者からの平謝りの連絡が入ったと同時に、阿笠の元へ彼を預けてきて、志保自身は一時帰宅した。
ukionze1517kara
DONE #04notflワンドロワンライ初参加です。ルール守れてるのか不明なので、注意点があれば教えてください。
お題「海」
開始時間 23:38
終了時間 0:31
#04notfl
#04notflワンドロワンライ
海「お前ってホント学習能力ないのな」
「…うるさい。頭がガンガンするから説教はまた今度ね」
背を向ける彼女に工藤はもう一声かけようと思ったが、あの時のような頑な態度にドアを閉めた。
彼女が自分の忠告通りに大人しく寝ているかは彼女の良心に従おうと蘭や少年探偵団の待つ浜辺へ向かった。
工藤が退室したホテルの一室でベットにダイブしたのは…
太陽の熱にやられた彼女 -宮野志保- は天井を見上げ先ほどの出来事を回想していた。
工藤と蘭、そして少年探偵団たちと海へ遊びに来ていた志保は、元々参加予定だった阿笠博士が急に用事が出来てためのピンチヒッターとして参加していた。
1ヶ月前にガラクタばかりの発明が漸く日の目をみることが出来、発表パーティーへの通知が来たのだ。子ども達との先約を果たそうとする博士を無理やり志保がパーティーへの参加を薦めた。自分がしっかりと子ども達の面倒をみるからと…
1592「…うるさい。頭がガンガンするから説教はまた今度ね」
背を向ける彼女に工藤はもう一声かけようと思ったが、あの時のような頑な態度にドアを閉めた。
彼女が自分の忠告通りに大人しく寝ているかは彼女の良心に従おうと蘭や少年探偵団の待つ浜辺へ向かった。
工藤が退室したホテルの一室でベットにダイブしたのは…
太陽の熱にやられた彼女 -宮野志保- は天井を見上げ先ほどの出来事を回想していた。
工藤と蘭、そして少年探偵団たちと海へ遊びに来ていた志保は、元々参加予定だった阿笠博士が急に用事が出来てためのピンチヒッターとして参加していた。
1ヶ月前にガラクタばかりの発明が漸く日の目をみることが出来、発表パーティーへの通知が来たのだ。子ども達との先約を果たそうとする博士を無理やり志保がパーティーへの参加を薦めた。自分がしっかりと子ども達の面倒をみるからと…
serisawa
DONE降志ワンライに挑戦しましたパート2。お題「時限爆弾」「真実」
降志ワンライ「時限爆弾」「真実」 言わずと知れた米花町の、某商業ビル。
数多くのアパレルや飲食店が立ち並ぶ施設において、日曜の午後というゴールデンタイムは極めて重要な意味を持っている――のだが、今この時刻、テナント関係者は一律避難を命じられ、規制線を張られたビルの周囲には、多くの野次馬達が押し寄せていた。
『速報です! 米花町ブレインタワービルに仕掛けられたという連続爆弾犯は先ほど逮捕されました! しかし、今も爆弾はビル内部に仕掛けられたままということで、只今機動隊による解体ミッションが行われようとしています!』
サイレンと供に次々にやってくるパトカーや機動隊、緊急車両から降り立った隊員たちが、先に建物内に入った者たちへと指示を送り、自身もまた内部へ入るための準備を整えている。
2664数多くのアパレルや飲食店が立ち並ぶ施設において、日曜の午後というゴールデンタイムは極めて重要な意味を持っている――のだが、今この時刻、テナント関係者は一律避難を命じられ、規制線を張られたビルの周囲には、多くの野次馬達が押し寄せていた。
『速報です! 米花町ブレインタワービルに仕掛けられたという連続爆弾犯は先ほど逮捕されました! しかし、今も爆弾はビル内部に仕掛けられたままということで、只今機動隊による解体ミッションが行われようとしています!』
サイレンと供に次々にやってくるパトカーや機動隊、緊急車両から降り立った隊員たちが、先に建物内に入った者たちへと指示を送り、自身もまた内部へ入るための準備を整えている。
serisawa
DONE降志ワンライに挑戦しました。お題「夏祭り」「ラーメン」
降志ワンライ:「夏祭り」「ラーメン」 21時頃まで聞こえていた祭囃子の音も止んで久しい時間に、その男はやってきた。
チャイムの音に玄関を開けると、夏の夜の蒸し暑い外気が一気になだれ込む。
うだるような空気と供に現れた彼は、開口一番「ごめん!!」と頭を下げた。
金色の髪、褐色の肌。一目見ただけでも整った精悍な顔立ちに、今は少々疲労と、自責の念を滲ませているその男の名を、降谷という。
迎え入れた志保はというと、ドタキャンの憂き目にあって帰宅後、未だ着替えていなかった浴衣姿のままだ。
「本当にごめん、この埋め合わせは必ず…!」
「…いいから、入って。開けっ放しだと暑いのよ」
ため息交じりに彼を部屋に促せば、落ち込んだ顔のままトボトボとついてくる。
1212チャイムの音に玄関を開けると、夏の夜の蒸し暑い外気が一気になだれ込む。
うだるような空気と供に現れた彼は、開口一番「ごめん!!」と頭を下げた。
金色の髪、褐色の肌。一目見ただけでも整った精悍な顔立ちに、今は少々疲労と、自責の念を滲ませているその男の名を、降谷という。
迎え入れた志保はというと、ドタキャンの憂き目にあって帰宅後、未だ着替えていなかった浴衣姿のままだ。
「本当にごめん、この埋め合わせは必ず…!」
「…いいから、入って。開けっ放しだと暑いのよ」
ため息交じりに彼を部屋に促せば、落ち込んだ顔のままトボトボとついてくる。
vi_mikiko
DONE降志ワンドロワンライです!7月お題:夏祭り・ラーメン・時限爆弾・真実
※夏祭りメインで書いてましたが他のワードもつっこみました。
初めて彼の顔をまともに見た時、ビー玉のような目をした男だと思った。
「僕は、あなたの家族に会ったことがあるんですよ」
拳銃を向けられそう言われてから、喫茶店に潜入する彼に囚われてしまった。
彼は黒の組織の一員。でも、なぜだか米花町にい続けて、小さな眼鏡の名探偵に存在することを許されている。
工藤君は彼の本当の正体を知っているのかもしれない。でも私は知らない。私は、彼のことは何も知らないのだ。
**
「早く帰らねえと、仮面ヤイバー始まっちまうぜ!」
「そうですね!」
「二人とも、前気を付けてね!」
授業が終わった放課後、日の傾く米花町の通りを探偵団達が走り抜ける。私は彼らの後ろをゆっくりと歩いていた。歩み寄る影が身体を覆う。鋭い眼光が、私を射抜く……
2334「僕は、あなたの家族に会ったことがあるんですよ」
拳銃を向けられそう言われてから、喫茶店に潜入する彼に囚われてしまった。
彼は黒の組織の一員。でも、なぜだか米花町にい続けて、小さな眼鏡の名探偵に存在することを許されている。
工藤君は彼の本当の正体を知っているのかもしれない。でも私は知らない。私は、彼のことは何も知らないのだ。
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「早く帰らねえと、仮面ヤイバー始まっちまうぜ!」
「そうですね!」
「二人とも、前気を付けてね!」
授業が終わった放課後、日の傾く米花町の通りを探偵団達が走り抜ける。私は彼らの後ろをゆっくりと歩いていた。歩み寄る影が身体を覆う。鋭い眼光が、私を射抜く……