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REHABILI付き合ってる75ちゃんですその色をもって「この寒いのに北海道?おまえ何かと行かされるよねなんかあんの?」
明朝の行き先を告げると、五条はシーツに包まったまま目だけをこちらに向けてくる。落とした照明に構わずやたらに煌びやかな目が、かちりとこちらを捉える。
「身に覚えはありませんね」
タオルで髪を拭きながら、ベッドに腰掛ける。顔を寄せるとふふとやわらかく空気が揺れて、思う通りに唇に触れることが出来た。ぺろと悪戯に下唇を舐め上げていった人の頬に、七海の前髪からひとしずく落ちる。拭う指先を捉える五条の手があたたかくて、そろそろ風呂に運ばなければ、眠ってしまうかもしれないと思った。
「ふうん?まずはバターサンドでいいよ」
「チョコレートも?」
「あ、まってまって」
792明朝の行き先を告げると、五条はシーツに包まったまま目だけをこちらに向けてくる。落とした照明に構わずやたらに煌びやかな目が、かちりとこちらを捉える。
「身に覚えはありませんね」
タオルで髪を拭きながら、ベッドに腰掛ける。顔を寄せるとふふとやわらかく空気が揺れて、思う通りに唇に触れることが出来た。ぺろと悪戯に下唇を舐め上げていった人の頬に、七海の前髪からひとしずく落ちる。拭う指先を捉える五条の手があたたかくて、そろそろ風呂に運ばなければ、眠ってしまうかもしれないと思った。
「ふうん?まずはバターサンドでいいよ」
「チョコレートも?」
「あ、まってまって」
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MAIKING伊くんと出戻ったばかりの7とめんどくせえ5の話75は付き合ってません
髪を切ったから、もしかしたら気付かないかもしれないと思ったそうだ。後から聞いた話である。
それは、夏だったからなのか高専の頃と比べてのことなのかはわからなかったけれど、最後に見た頃よりも随分大人びた表情と、確かに短く整えられた髪と、落ち着いた声で七海はそう言った。
◯
諸々の事務手続きを終えて、あとは書類を手渡すだけだ。七海が呪術師に戻ることになり、伊地知は少なからず興奮していた。ひとつ上の先輩は、学生時代から慕っている、頼りになる人だ。この界隈では珍しい、常識ある話の通じる術師である。日頃担当することが多い、話の通じない人ナンバーワンの顔を思い浮かべながら、少し苦笑いをする。そのナンバーワン、五条悟に学生時代から向かっていけた数少ない後輩が、七海建人その人であることも、また伊地知を少し楽しい気持ちにさせた。
2189それは、夏だったからなのか高専の頃と比べてのことなのかはわからなかったけれど、最後に見た頃よりも随分大人びた表情と、確かに短く整えられた髪と、落ち着いた声で七海はそう言った。
◯
諸々の事務手続きを終えて、あとは書類を手渡すだけだ。七海が呪術師に戻ることになり、伊地知は少なからず興奮していた。ひとつ上の先輩は、学生時代から慕っている、頼りになる人だ。この界隈では珍しい、常識ある話の通じる術師である。日頃担当することが多い、話の通じない人ナンバーワンの顔を思い浮かべながら、少し苦笑いをする。そのナンバーワン、五条悟に学生時代から向かっていけた数少ない後輩が、七海建人その人であることも、また伊地知を少し楽しい気持ちにさせた。
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MAIKINGバニーの日に寄せて75と硝子さんとその後輩
怪我人の対応もひと通り終わって、時計を見る。今日開かれている食事会には間に合うか微妙な時間だった。どうしたものかなとスマートフォンを取り出すと、件の食事会に参加しているはずの後輩からメッセージが届いている。
『家入さん助けてください』
不穏な一文目の後、連続で送られて来ていた画像たち。
「……ふふ、これは、なかなか」
上から順に保存していく。なにかの時に使えるかもしれない、というより単純に可笑しい。
写真には、うさ耳を付けた五条と七海が写っていた。白のふわふわのうさ耳を付けた五条は、その髪の色と相俟って妙に似合っていて笑える。問題は七海だ。黒いうさ耳、しかも片耳が折れてるタイプのあれだった。真顔で、大して酔っている様子もない。悪ふざけだ。
707『家入さん助けてください』
不穏な一文目の後、連続で送られて来ていた画像たち。
「……ふふ、これは、なかなか」
上から順に保存していく。なにかの時に使えるかもしれない、というより単純に可笑しい。
写真には、うさ耳を付けた五条と七海が写っていた。白のふわふわのうさ耳を付けた五条は、その髪の色と相俟って妙に似合っていて笑える。問題は七海だ。黒いうさ耳、しかも片耳が折れてるタイプのあれだった。真顔で、大して酔っている様子もない。悪ふざけだ。
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MAIKING呪専75 真夏、予感の夜ドアを開けると、風で大きくカーテンが揺れた。その裾が銀糸を撫でて、乱れた髪の持ち主の顔を月明かりの下に晒す。銀糸の髪、白い頬。その特徴的な瞳が目蓋に隠されていても、誰かなんて間違えようがない。
七海の部屋で、五条が眠っていた。ようやく寮に帰ってきた、深夜だ。もう疲れ切っていて風呂は明日と思って自室のドアを開けた光景としては、中々に面倒くさそうな案件だった。それでも酷くはできなくて、起こさないようにそっとドアを閉める。荷物を置いてベッドの下に座り込む。何も掛けずに眠っている腹に薄い上掛けを掛けてやる。五条の肩のあたりに先日貸した文庫本。肘をついて眺めながら、どうしたものかと思う。
どうしてか窓は開けられていた。ぬるい風に、カーテンがまた揺れる。五条の柔らかそうな髪が風で揺れるの見て、作り物めいたこの男が、そういえば人間だったなと思った。
996七海の部屋で、五条が眠っていた。ようやく寮に帰ってきた、深夜だ。もう疲れ切っていて風呂は明日と思って自室のドアを開けた光景としては、中々に面倒くさそうな案件だった。それでも酷くはできなくて、起こさないようにそっとドアを閉める。荷物を置いてベッドの下に座り込む。何も掛けずに眠っている腹に薄い上掛けを掛けてやる。五条の肩のあたりに先日貸した文庫本。肘をついて眺めながら、どうしたものかと思う。
どうしてか窓は開けられていた。ぬるい風に、カーテンがまた揺れる。五条の柔らかそうな髪が風で揺れるの見て、作り物めいたこの男が、そういえば人間だったなと思った。