怪我人の対応もひと通り終わって、時計を見る。今日開かれている食事会には間に合うか微妙な時間だった。どうしたものかなとスマートフォンを取り出すと、件の食事会に参加しているはずの後輩からメッセージが届いている。
『家入さん助けてください』
不穏な一文目の後、連続で送られて来ていた画像たち。
「……ふふ、これは、なかなか」
上から順に保存していく。なにかの時に使えるかもしれない、というより単純に可笑しい。
写真には、うさ耳を付けた五条と七海が写っていた。白のふわふわのうさ耳を付けた五条は、その髪の色と相俟って妙に似合っていて笑える。問題は七海だ。黒いうさ耳、しかも片耳が折れてるタイプのあれだった。真顔で、大して酔っている様子もない。悪ふざけだ。
愉快なことになってんなと笑いながら、今日はバニーの日らしいぞと返してやる。すると確かに助けが欲しかったのか、すぐに返事が来る。
『五条さんはともかく七海さんまで』
『あの大人オブ大人の七海さんが』
『味方だと思っていた伊地知さんは遠くを見ながらずっと水飲んでます』
どんな惨状なのか容易に想像が出来て、参加出来なかったことが悔やまれた。七海は冷静で、常識ある大人に見えて、しかしそこはやはり呪術師で、そしてなんと言っても五条悟の後輩なのだ。
『あいつはあれで五条の直近の後輩だ。諦めろ、もしくは慣れろ』
それだけ送ってメッセージアプリを閉じる。愉快な様子は今度酒でも飲みながら聞いてやろう。七海が戻ってきてから、妙に仲が良い二人について。
「さてどうやって肴にしてやろうか」
まずは七海からつつくのが良いだろう。少し楽しい予定を頭の中で立てながら、酒瓶を取り出した。