十二月は花より「ねえ、おめでとうって言われてなくない?」
洗濯が終了したブザーの音と同時に、まあまあのボリュームのクレームがやってくる。急に目の前に現れた顔に、ああ今日も目の中に星が散っている、などと血迷ったことを思っている。師走とは術師も例外とはしてくれない。今日はずいぶん久しぶりの休日で、どうにも五条の手が入っているのではと思わせる日付だった。
「そう……ですかね……?」
記憶を辿りながら、洗い上がったばかりの洗濯物をカゴに盛って、ベランダへ移動する。その間も後ろから五条はなにやら言いながら付いて来る。
「去年はさあ〜こんな日に私の側にいて良いのかとか誕生日の人にひとりでごはん作らせるのは気が引けるとか言いながら結局、」
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