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    #イドアズ

    idoas

    三重@ポイピク

    MAIKING人魚と不老不死と慈悲の精神絡めた、ちょっとした事件の話。名無しの刑事視点。人が死ぬ描写がやや出てきます。鏡を通り抜けるという、日常生活においてそうそう体感しない経験を二度経た先で初めに感じたのは、微かな塩の匂い。続いて視界一面に広がった景色に、男は目を見開く。鏡の向こうに続く空間は、海であった。それも砂浜から見る海などではなく、身を浸すことで見られる海の内部である。立っている通路は透明の硝子によって丸く囲われており、足元はしっかりとした石造りになっている。硝子の周囲を埋め尽くす海は、どうやら日が昇っている最中を模しているのか、天高くからの光を通して淡く輝いていた。どうやら潮流も存在するのか、時折泡沫が硝子に貼りつき、そして離れていく。
    向かいから数人、楽し気に談笑する生徒達が歩いてくるのが見えて、男は止まっていた足取りを再開した。すれ違った生徒達は、左腕に臙脂、深紅、黄色、灰がかった紫の腕章を着けていた。事前に調べた情報では、確か寮ごとに腕章とベストの色が異なる仕様だと載っていたのを思い出す。胸元にそれぞれ色の異なるペンを差した彼らは、見たところ普通の学生にしか見えない。これが魔法士の卵なのだと分かっていても。男が目にする魔法士が、魔法執行官ばかりというのもあるのだろうが、違和感を拭えな 3011

    三重@ポイピク

    MAIKING人魚と不老不死と慈悲の精神を混ぜた、ちょっとした事件の話。人が死ぬ描写がやや出てきます。魔法士という存在はどうにも胡散臭いが、目の前の男はとびきり胡散臭い。それが、辺境の地にして魔法士を育成する名門校を2つ有する賢者の島へ降り立ち、名門校の1つ、ナイトレイブンカレッジを訪れた男の抱いた印象だった。本来この島は、数多くの交通機関を利用しなければ訪れることのできない場所にあるのだが、今回は事情聴取のため訪れたこともあり鏡を利用してこの地を訪れた。魔法士を目指すには魔力が足りず、魔法執行官とごく稀に接触する程度の刑事にしてみれば、魔法技術により数百キロ離れた箇所を鏡1つで乗り越える感覚は奇妙以外に言いようがない。
    訪れた学び舎は、長い歴史を強調するように厳かな造りとなっており、通された学園長室は最たる趣である。普段自分が使っている法人用の一括購入したデスクなどとは物が違う、重厚な木が形作る机に座ったまま、学園長ディア・クロウリーは仮面越しに笑みを浮かべた。友好的だ。そもそもここまで訪れる手筈を整え、聞き込み対象に事情聴取の許可を取ったのもこの目の前の男である。本来、この手の名門校はスキャンダルに繋がることを厭うはずだが、何故だか目の前の学園長は親身になって刑事である男の希望を叶 2671