ボツ「左手、ずいぶん調子がいいみてえじゃねえか」
「……左手だと?」
エディの左手首をクレタスが掴んだ。クレタスの腕は赤い寄生体に包まれ、触手をエディの左手へと伸ばしていた。絡みつく蔦のような感触に記憶がじわじわと引き戻される。
「協力してやっていいぜ。もう一度、切り落とすってんならよ?」
その言葉をきっかけに思い出した記憶は鮮明だ。寄生体から逃れるために左手を切り落とした記憶だ。鮮明な痛みまでもが甦り思わすクレタスを突き飛ばした。この夢はクレタスが支配している。エディの腕を治してみせたのも彼の悪趣味に違いなかった。
「あ、ぐッ!?うぅ、う゛ッ……!」
左手に蘇った灼熱の痛みに全身の力が抜けた。右手で手首を押さえるが左手は健在だ。だが痛みばかりが延々と襲う。痛みで弾けた視界の中に映るのは、左手を切り落としたにも関わらず赤い寄生体に包まれる自身の姿だった。夢だと必死に言い聞かせて痛みに奮闘する間にも