ルビーの逢瀬「よォ、銃兎ォ」
口端を吊り上げて笑う男が一人、ガシャンと鉄格子を鳴らすその見慣れた光景に、銃兎はいつもの如く溜息を零した。
「……左馬刻、今日は一体何をやらかしたんだ」
名指しで留置場に呼び出されることに慣れる警察官などたまったものではない。指に掛けたキーリングをチャリ、と鳴らして、件の男──碧棺左馬刻を見遣る。
「別に。ちっとばかし目に付いたゴミ虫にヤキ入れてやっただけだわ」
「ハァ……全くお前は本当に……」
銃兎はもう一度溜息を零した。
「つか、ンなこたァどーでもいいんだよ。早く出してくれや」
「簡単に言うけどな……、お前を出してやるための根回しだって楽じゃないんだからな」
「でも、出してくれんだろ?」
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