誕生日赤真 もうやめちまってもいいんじゃないかって耳元で囁いてきたのが天使なのか、悪魔なのかも曖昧だった。
俺は絶対負けられない試合に負けた。その場に膝を折った時、俺を支えてたものもポキっと折れたような気がした。それ以来俺は何を食べても砂を噛んだみたいで、ゲームしてても気がついたらやられてるし、すっかりスマホの電源もつけないでぼーっとベッドで天井を見上げてる。
よだれを拭ったら、ヒゲが手の甲を傷つけた。
当たり前みたいに練習もサボってる。
気を緩めたら取り戻すまでに何とかかんとかみたいなお説教は聞き飽きたくらいなのに、ちゃんと、自分でもそうすべきだってわかってるのに、何もする気になれない。
「赤也」
声が聞こえて、幻聴かと思った。
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