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    izayoi601

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    呉11章でそうきゅうくんが騙されていなかったという事実に、影で青じょしょどのが関係しているのではないかと勘繰らずには居られなかった庶休の話。6章で友人関係を築いたのが此処で効いていたら良い…アプリでは二人の未来が切り拓かれている妄想が止まりませんでした。少しだけまんちょうどのも。もし宜しければ。

    #庶休
    shuShu

    拓かれた道へ「ありがとう、徐庶殿」
    本来ならば占領されたかもしれないというのに、石亭には驚くほど平穏な静寂が訪れていた。包み込む蒼天の星々を見つめれば、隣からの真っ直ぐな声に漸く張り詰めた糸が緩む。
    「……それは、此方こそだよ……君が俺の言を受け入れてくれて、従ってくれたからだ」
    周魴の書簡は、曹休殿を信じ込ませるには充分な代物だった。しかし俺には、どうしても違和感が拭えない。進軍の時期、彼の性格を熟知しこれでもかと情に訴えた内容。呉には今も優秀な軍師が居るだろう、『完璧』過ぎる程に。俺自身も、手紙で此処に来ざるを得なかった記憶が甦ってしまう。
    「最初は驚いたな、俺にやり遂げられるかも解らなかったが……」
    此処まで書いてくれているのに何故疑うのか、と予想通りに聞かれたが必死に騙された振りをする様説得した。背に腹も代えられず、自らが魏軍になった経緯を話せば驚愕の瞳で見詰められても。
    この性急な進軍も今は世を去った、大切だった従兄弟の為。君を守れる絶対的な家族は、もう居ない。何の為に俺は此処に残ったんだ、誰の為に俺はもう一度武を振るうと誓ったのかを思い出したよ。国など、大義などはどうでも良い。磨いてきた知は、この時の為にあったのだから。
    「徐庶殿の言葉は、信じるしかないからな……策を知っていることを悟られなくて、本当に良かった」
    安堵した様に見せてくれた微笑みに、夜風に冷えた身体中が温もりに満ち溢れる。俺は、君だけは守りたい。捨てたかった筈の世界を生きる意味を、何より大切な存在だけは失いたくないんだ。
    「……また、徐庶殿に助けられてしまって申し訳無い」
    「いや、漸く君を救うことが出来たよ」
    「?……どういうことなんだ?」
    解らないところが、君らしいよ。君が居なければ満寵殿に話を持ち掛ける勇気も、司馬懿殿に向け一部の策を提案するなどという状況もある訳が無いだろう。
    「……君に救われてきたのは、俺なんだ」
    微かに呟き、口元を緩める。一瞬だが、この国でなるつもりなど無かった軍師の真似事をした。その決意が出来た程、強く感情が湧き上がる。君を救う為なら、安い代償だ。
    「それにしても、危機的状況の筈なのにあれ程楽しそうに振る舞える満寵殿は尊敬に値する」
    「はは、罠城のお披露目がしたかったんだろうね……」
    眩い程純粋な解釈に笑みを溢し、此処数日間を反芻する。司馬懿殿へ進言して貰う代わりに兵器開発をと付き合わされ疲労困憊だが、『面白い着想を試す機会を得られたよ』と嬉々して合肥へ向かう彼の背中には感謝を込めた。俺もまた、貴方の言葉を思い起こすだろうから。
    「……とにかく、徐庶殿が居れば何も怖くない……こんな俺だけれど、これからも宜しく頼む」
    星々が降り注いでは煌めく瞳を覗き込み、頬に指先を伸ばす。
    『決して動くことを、止めないことさ』
    兵器を調整しながら呟く満寵殿の表情は若者の如く晴れやかなのに、視線には年月の重みも含まれていた。歩みを進める限りは、小さな隙間だとしても突破口が見つかるのだと。
    「此方こそ、君が望んでくれる限り」
    ああ、とても綺麗だ。君とならごく僅かだとしても、運命を変えることが出来るかもしれない。斬り裂いてでも、せめて君が光明を拓ける未来へ繋げていこう。
    「じょ、徐庶殿……何だか今日は、近くないか」
    「あ、ええと……済まない……でも今は、そういう気分なんだ……君が、とても綺麗だから」
    「えっ……そ、そうだろうか……」
    紅く彩られ熱を帯びるのが、可愛らしくて。君だけは、幸福であれば良い。いや、それだけは俺自身が貫いてみせる。
    「うん……どうか、もう少しだけ……許してくれないか」
    瞼を伏せた一瞬、暫し唇を奪う。
    もう日向には出れなくとも、君がこの身を柔らかく照らし続けてくれるなら。
    何時しか命運尽きるまで、傍らの剣で居させて欲しいと願った。
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    izayoi601

    DONE呉11章でそうきゅうくんが騙されていなかったという事実に、影で青じょしょどのが関係しているのではないかと勘繰らずには居られなかった庶休の話。6章で友人関係を築いたのが此処で効いていたら良い…アプリでは二人の未来が切り拓かれている妄想が止まりませんでした。少しだけまんちょうどのも。もし宜しければ。
    拓かれた道へ「ありがとう、徐庶殿」
    本来ならば占領されたかもしれないというのに、石亭には驚くほど平穏な静寂が訪れていた。包み込む蒼天の星々を見つめれば、隣からの真っ直ぐな声に漸く張り詰めた糸が緩む。
    「……それは、此方こそだよ……君が俺の言を受け入れてくれて、従ってくれたからだ」
    周魴の書簡は、曹休殿を信じ込ませるには充分な代物だった。しかし俺には、どうしても違和感が拭えない。進軍の時期、彼の性格を熟知しこれでもかと情に訴えた内容。呉には今も優秀な軍師が居るだろう、『完璧』過ぎる程に。俺自身も、手紙で此処に来ざるを得なかった記憶が甦ってしまう。
    「最初は驚いたな、俺にやり遂げられるかも解らなかったが……」
    此処まで書いてくれているのに何故疑うのか、と予想通りに聞かれたが必死に騙された振りをする様説得した。背に腹も代えられず、自らが魏軍になった経緯を話せば驚愕の瞳で見詰められても。
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